咲耶と話しに熱中する者達
「咲耶様、面白い考えですね。ですが、精霊の器になる身体はどうされます? クルードに作ってもらいますか?」
「ん。それでは、ゴーレムと何ら変わらないのではないかな?」
クロガネの言葉に、カンザールが口を挟む。
2人の間で論争が持ち上がる。地球とトリフェーンでは、考え方や価値観が違うのだ。
それプラス、地球の文化や科学力などを話し始めようものなら、与太話と捉えられてしまうだろう。
「ちょいまちぃ〜な、お二人さん。咲耶はんの話を最後まで聞いてやり〜な。アンタらばかり熱中してもうても、ナンも解決せーへんわ!」
カザミの手にある扇子が、パーンと音を立ててクロガネ達の頭を叩く。
魔法談議から始まった2人の論争は、脱線して地球の種族や自然界の話へと移行し始めていた。それをカザミが元に戻す。
「2人ともいい大人なんやから、咲耶はんの話を聞いてやりなはれ。さっきから話せずに待ってはるやろ?」
ホンにお子さまやわ〜、とため息をつくカザミの言葉に、クロガネ達はバツの悪そうな表情で謝った。
「申し訳ございません、咲耶様。話に夢中になっておりました。」
「同じく、大変ご無礼致しました。しかし、咲耶様らの故郷の地球とは、我が世界とそこまで掛け離れておるのですか……」
腕をくみ思いを馳せるカンザール。そこをカザミがクロガネにしか聞こえない声で語りかける。俗に言う『念話』というものだ。
<こんの〜おバカはん。何処までウチらの話をしとるん?>
<あ……、すみません。ちょっと熱くなってしまいました。ですが、詳しく話は一切しておりませんよ。地球の魔法とはどの程度とか、自然界の人々とか、種族の話などをしただけです。>
表面上は顔色を変えずこれからの方向性を語りながら、2人の間でだけ会話が交わされる。なんとも器用な2人である。
<そんなことでは、ドゥーロはんの事を悪く言えんですわ。もう少し気をつけなはれ。カンザールはんが力を貸すと言われても、それが真実かなんて分からしまへんのやから>
<はい。反論の余地は全くありません。>
<罰としてアンタはんには、トリフェーンの鉱山探査をやってもらうわ。これからパワーストーンが必要になりそうやしー>
カザミの要望に、クロガネは白旗を挙げた。今回は自分に非があるのだ。無理難題だろうとも、のむしか残された道はないのだ。
「咲耶様、少しの間お側を離れます。精霊に器を与える等の内容であれば、クルードを呼んでやらないと後で怒りだします。」
「そうやったな〜、クロガネ、ちょっと呼んできてくれへん? その間にお茶を咲耶はんに用意してもらっとくわ。いいやろ、咲耶はん?」
長丁場になる事を見越してからか、咲耶の入れたお茶を希望するメンバー達。
「わかったわ。軽く摘めるお菓子も焼いてくる。でも今度戻ってきたら、話を最後まで聞いてくださいね?」
『はいーー』
席を離れるクロガネと共に、部屋から姿を消す咲耶。最後に放たれた言葉に、謝罪するメンバーらであった……




