咲耶と優しい思い
『いーかい、咲耶。創作魔法っていうのはね、自分の思い浮かべた物やこうなればいいやって考えを、自分の魔力と引き換えに形にする魔法の事だよ。
それからこの魔法はね〜、ガイア様の趣味で創った魔法みたいだね。だからかな、ドワーフであるクルードには多少使えるみたいだよ?』
咲耶の膝の上に収まり自分の知っている事を教える竜。咲耶に触れられてるからか、淡い光を放っている。
「質問があるのですが、宜しいでしょうか?」
『ん? まあ、いいや。どんな事が知りたいのかい。エルフくん』
カンザールは自分の質問に答えてくれる竜に、幾つかの疑問を聞く事にした。エルフ以上の知識と魔力を持つ神に匹敵し得る存在に、質問できるチャンスは早々に巡って来ないと思ったのであろ。
「では、咲耶様は神のように人や生命を生み出す事は出来ないのですな?」
『当然だよ。そんな事まで出来てしまったら、咲耶も神のような存在になってしまうだろ? そんな事は咲耶は求めてないし、させたくないよ! そんな事が出来る存在が居るってしられたら、権力が欲しい者達の格好の餌食になるじゃないか』
カンザールの質問に、赤めの光を放つ竜の球体。少し気分を害したようだ。
「ウチも聞きたい事があるんやけど、竜はんが度々ウチらにやって見せてくれた事も、創作魔法の一種と思うてもいいん? 街とこの場を繋ぐ道を創ったり、空間に映像を映し出すって事たちもや。」
『もちろんだよ。この世界の力ある存在達は、神の真似で似たような能力を持って生まれるかもしれない。だけどそれには、膨大な魔力と魔法陣や呪文という触媒がいるんだよ。だけど咲耶や僕は、思う事が魔法と言う形をとるんだよ。』
さらっと口にしたが、咲耶は神に近い能力を秘めていることになる。これはますます大衆の前では作業がやり難いと考えるクロガネ。
「なるほど。確かに我々エルフや魔族といった者達は、力を借りる時に呪文を使いますな……。」
「ウチらもやな。魔法とは違うけど、術を使う際は鍵となる言葉を使こうとりますなぁ」
竜の説明に納得したカザミ達。ではその枠に捉われない咲耶はーー。自分の知らない力に恐怖を感じた。
瞳を閉じ考え込む咲耶の手を、隣に座るクロガネが優しく触れる。
「ご心配はいりません。咲耶様が恐怖を感じれば我々が全力でお助けいたします。だから、自分の力を嫌いにならないで下さい。」
「そうやで、ウチらの大切なお方に、変な事をさせる輩がいたら、ちょっと痛い目に追うてもらうわぁ〜」
「恐怖や畏怖は闇の力に傾き易いとききます。どうか我らを信じて優しい思いを強くお持ちください。」
三者三様の励ましの言葉に、胸の中がほのかに暖かくなる。
力強い仲間たちが居てくれれば、自分は道を踏み外さない筈だ。そう思うのであった。




