咲耶と本と魔法
『ご馳走様でした〜!』
咲耶の家の1室で、クルード以外の者たちが食事を終え、食事を作ってくれた咲耶やカザミに感謝の言葉を口にする。
カンザールやドゥーロ達も、咲耶達の食事のスタイルに馴染み始めたのだろう。
「咲耶はんと2人、時間を掛けて作ったかいがありましたわ。食後のデザート替わりに苺を用意したんやけど……って言うとる間に、手がでとるようやな。」
光沢のある瑞々しい苺を口一杯に頬張るドゥーロに、苦笑をもらすカザミ。
そんなメンバーの元に、食後のお茶を入れた咲耶が姿を見せる。今日のお茶は、ルイボスティーだ。少し赤めの色をしたハーブティーで、整腸作用がある。初めて口にする者たちばかりだからか、最初は不思議ない色合いの飲み物に戸惑っていたが、それは最初だけであった。
「さて、もうそろそろ街に戻り大地の回復作業に取り掛からなくてはいけませんね。」
「そやかて言うても、簡単にいかん作業や。苗木を植えるにしても、咲耶はんのお力を借りんといかんしなぁ〜。」
クロガネとカザミは、今後の方針でなやんでいた。大地を支える樹を増やしたまでは良かったが、白木蓮と林檎の樹を百本ずつ植えるとなると、咲耶1人の力だけでは終わりが見えない。
となれば、人手を増やす方法も考えられが、今のトリフェーンには精霊・妖精の類は姿を隠してしまい、呼びかけ=召喚にも応じてくれないだろうと、カンザールの意見である。
ならばこんな時こそ、ガイアから貰った本が役に立ってくれるかもしれない。
咲耶は本棚に収めていた桜の図柄の本を手に取ってめくってゆく。
(何かーいや、植樹する際の補助をしてくれる道具や何かがあれば良いんだけどな〜)
本の中身は、魔力の活用方法から始まり、大地の活性化・召喚魔法・創作魔法・補助魔力など、地球のゲームに出てきそうな言葉ばかり。地球の神は余程、咲耶よりも現代の若者に近い感覚の持ち主なのだろう。いや、ただ単に面白がっていたのだろうか。魔法等に疎い咲耶を思い浮かべて、今頃したり顔をしていることであろう。
「咲耶様、何か気になる事でも書かれているのですかな?」
「そうか、魔法ならカンザールの方が余程詳しいよね? ちょっと気になってる所があるんですがー」
咲耶は、本に書かれている召喚魔法と創作魔法が、トリフェーンに実際に存在しているのか尋ねてみた。
「召喚魔法ならば、エルフや竜族、それこそ魔族や人の魔法使いならば出来るでしょう。しかし、この創作魔法というのが気になりますな。」
カンザールでも未知なる魔法らしい事がわかったが、ならば地球組の2人ならば知っているだろうか?
「クロガネ、カザミ。2人はこの魔法がどんな事が出来るのかわかる?」
咲耶の問いかけに、かぶりを振る2人である。召喚術や変幻などならば得意な2人。創作となると、自室にこもっているクルードが適役であった。
そしてもう1人、知っていそうな人物⁈がいるのを忘れている。
『ねぇねぇそんな事なら、僕が教えてあげるよ? なんでも頼ってよ〜』
咲耶の為なら、自分が出来る限りの事をしてやりたい竜は、乗り気である。
「じゃあ、お願いしても良いかな?」
『うん!』
嬉しさのあまり、咲耶の頬にすり寄る竜(球体)であった。




