咲耶と林檎
「カザミ。とりあえず林檎の苗木を一本、用意してもらってもいいですか? 種類は問わないので。」
「あーー、一本だけでいいん?」
カザミの問いに、クロガネはうなずきながら、これからの事を説明しだした。
「今から一本の苗木をこの場所に植えます。その後、咲耶様の能力で大木まで成長させてもらいます。大木まで大きくさせた後は、ドゥーロ君とカンザールのペアで、林檎の苗木を増やしてください。やり方はわかりますね?」
クロガネの言葉に、ドゥーロが元気良く返事を返す。
「花の苗木を作った要領で増やしていけばいいんだろ? なら、大丈夫!」
自信満々のドゥーロに、カンザールが言葉を添える。
「私も手助けするので、樹を増やす作業自体は難しくはないでしょう。それよりも、成長させる方が大変ではないのですかな?
この地ならば、大地の力が満ち溢れるているので、何本かの大木を作るには無理がないでしょう。しかし、街に植えるとなると状況が変わってきます。」
「カンザールの心配している事は、察しておりますよ。大地の生気がないので、樹を植えたとしても成長してくれないだろうと言いたいのですね。それプラス、地球の植樹には水が必要不可欠となります。大地にぽど良い水分が無ければ、幾ら我々が頑張って植えたとしても、直ぐに枯れてしまう事でしょう。」
そこでクロガネは、自分の懐に直していた石を取り出してカンザールに見せる。
「この石は……。何か不思議な波動を放っていますな?」
「これは地球にある石で、パワーストーンと呼ばれています。その種類の中から、水に関するもの、大地に関するものを選びました。」
クロガネの手の中にある石は、水の属性であるアクアマリンは勿論の事、大地の力を上げるガーデンクォーツ、幸運と太陽の力を秘めたアンバー(琥珀)が、あった。
「この石をどうするつもりですかな?」
石に力があるのは分かったが、それが大地の再生にどの様に関わるのか想像ができないのだろう。
トリフェーンの民ならば、それが普通の反応だろう。それに、今回は1つの石の力だけではなく異なる石等の力を合わせた作業になる。
クロガネやカザミは薄々だがどの様な結果になるのか見当がついていた。だが、予想と現実は何が引き起こされるかわからないものである。
「石の力を引き出す作業を咲耶様に行ってもらうにしても、フォロー役は多い方がいい。先にドゥーロ君の苗木を増やす作業と林檎の樹を一本のみ成長させる作業を終わらせてしまいましょう。宜しいですか、咲耶様?」
「うん。じゃぁカザミさん、林檎の品種はお菓子作りに適した物でお願い。アップルパイとかジャム。色々作りたいから!」
「せやな。それくらいのお願いなら可愛いもんや。けど、出来たお菓子は1番に味見させてぇな?」
笑顔を浮かべる咲耶に、役得のカザミである。




