閑話 咲耶の決意
登場人物紹介
月河咲耶 15歳
数年前に両親が他界しており、唯一の家族である
愛猫のゆきと親から譲り受けた家で暮らす。
休みの日は、近くの公園で読書をしている。
そのおかげで、異世界行きに巻き込まれてしまう。
趣味は、読書・お菓子作り。父親の影響で、紅茶に煩い。
「だから、この家も家の周りの木々達がたっとる場所も、この球体のお方が守るってはるんや。まあ、ご本人から言うてもろうた方がいいんやろかぁ?」
『それでもいいけど、色々話しちゃってもいいの? 咲耶は困らない?』
咲耶の周りをふわふわと離れずに浮かぶ球体に、咲耶は優しい手付きで撫でながらうなずく。
「カンザールさんに聞かれても困る事はないと思うから、自己紹介してくれる? 」
『了解! じゃあねー、僕は咲耶の為だけに誕生した竜。咲耶の血と地球の神、ガイアの力と月の力によって生を受けた。
だから、咲耶の願いは最優先で叶えてあげるんだ。まあ、咲耶の周りの人達も嫌いじゃないから、聞いてあげることにしてる。』
竜のちょっと上から目線の言い方に、苦笑いをするクロガネ達。まあ、ガイアの力で誕生しているので、クロガネ達にとっては、主人の分身に考えが似ているのかもしれない。
ちょっと、後で話しをして言い聞かせないといけないなぁ〜と、心に留める咲耶。
『僕の力の根本は、時空間ー時間ーを操る能力なんだ。だから、地球からトリフェーンへの道を繋ぐ為にも使ったし、クルードがいますが居る別空間の自室を追加で造ったりもできるよ? まあ、咲耶の影に入り込むのは無理だろうけどね』
「ん、それは何故ゆえでしょうか?」
クロガネ達には認められて、自分には咲耶の影に潜れない理由。それはーー
『だって、キミはこの星の竜に忠誠を誓っている、眷族の子だろ? 契約者が眠っている時に、勝手に上書きとかしてたら、目覚めた後キミの主人は気分悪くするよ、きっと。』
自分がそんな事を無断でされたら、激昂するだろうと思って、暫くは客人扱いをすると宣言したのだろう。
竜の心使いに、素直に頭を下げるカンザール。
『だからさ、神に近い能力を持つ僕は、咲耶の力を受け取って色々できるんだよ。世界と世界を渡る事はもちろん、この星の状況を見せる事とか、瞬間移動が出来るっていうのは、実体験したよね?』
「はい。それはもう、驚くという言葉に尽きる体験でございました。」
カンザールは感動に身を震わせていた。自分が知る限り、この世界で転移能力を使える者は魔族や今は眠っている竜族の長方だろう。
そんな能力をまさか自分が体験出来るとは、思いもしなかったのである。
『だからって、思い違いをしたら駄目だからね。僕の力は全て、咲耶がくれるものなんだから。咲耶ありきの僕の力って事を忘れないでよ? あと、本題を言い忘れてたけど、この場所は水晶球のなかに入ってて、僕の本体が守ってるから。で、本体はトリフェーンの空を飛んだりしてるんだ』
凄いだろ?と、咲耶を褒める事が1番になり、聞かれた現状の話がついでになっている。竜にとってなによりも優先するのは、咲耶であったのだ。
「まあ、竜殿の力を借りた我々がこの世界にたどり着き驚かれたのは、魔力ばかりが溢れ自然界の力が枯渇している現状です。」
「ほんに、どこの世界にも後先考えんお人らがおるもんやなぁ〜。この星には残された時間は僅かしかありまへん。」
クロガネ達から聞かされる今のトリフェーンに、ますます自分の主人が心配になるカンザール。
『なーにを放心してるのさ。だから救いを求めたんじゃないの! 咲耶の癒す能力にさ』
「私に一体どれくらいの事が出来るか分かりませんが、諦めずに力を尽くします」
力強く未来を見据えるその姿勢に、頭が下がる思いのカンザールであった。




