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異世界から引っ越してきた聖女です。  作者: 金木犀の夢華


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閑話 酒はほどほどに

閑話


「ん〜。こんな食べ物を前にする事が出来た私は、何と幸せ者であろうー」


「カンザールよ、こっちの物もたべてみんか?」

クルードが赤ら顔で自分の近くに置いてあるおかずを取り分ける。カザミが置いていった出来たての咲耶野菜炒めを差し出した。 

 

「色鮮やかな食べ物たちですな。これはまた、酒が進む」


匙に掬った野菜炒めを口に運びつつ、酒をチビチビ呑む姿は、地球でよく見かける呑助である。


「なあなあカザミ、皆が呑んでる酒って、そんなに美味しいものなのか? オレもちょっと飲んでみたい!」


前々から興味を示していかドゥーロが、隣のカザミに頼んでみた。


「辞めときぃ〜なドゥーロはん。 初めてのアンさんには、カンザール達が呑んでいる奴は強すぎるわ。呑むならこれにしとき〜な」


そう言うとカザミは、琥珀色の液体を炭酸水で割った物をドゥーロに作ってやる。


「これ何だ? 小さな粒がパチパチ音を奏でてる飲みものは。」

「梅と言う果実を酒に浸けて作ったお酒ですわ。パチパチいってますのは、炭酸水やね。原液のまま呑むんではなく、炭酸水と混ぜて呑むのが美味しいんや〜」


いつもならば、暴走気味のクルードを止めるカザミも、楽しい酒の席で羽目を外している様だ。まあ、酒初心者のドゥーロに作ったのは、薄めにした梅酒の炭酸割りだったが。


4人が飲み食いする席から離れた奥、咲耶の台所では、クロガネと咲耶が2人で料理を作っていた。酒がメインだといっても、食べ物を摘むのを諦めたくない呑助達は、咲耶にリクエストをする。

まあ、料理が出来るのが咲耶しかいないのだから、必然的にそうなってしまうのである。


「咲耶様。先程からキッチンに立ちっぱなしですが、疲れているのではありませんか?」

「う〜ん……。まあ、今日一日で色んな事が起こりすぎた感があるけど、みんなが楽しそうなら良いよ! ほら、クロガネさんも私の手伝いはいいから、皆と楽しんできてよ?」


会話をしながらも、また一品作った料理をクロガネに渡しながら、クルード達の方へ促した。先程から咲耶は、料理を作りっぱなしである。自分の話を聞き入れてくれない咲耶に、クロガネは強硬手段に出る事にした。


「咲耶様、料理はここまでで良いですから、皆の所に参りますよ。貴女は作ってばかりで自分が食べてはいないでしょう?」


「ええっと、作りながら少し摘んだりしていたから、そんなにお腹は空いてないかな。

ほら、それよりも、溜まった食器を洗わないといけないから、私はここに居るーー」


「駄目です。」

咲耶の言葉を止めると、クロガネは指をパチンと鳴らす。すると、クロガネの影から烏が数羽姿を現す。


「お前たちに命じます。汚れた食器類を洗って元の場所に戻しておくのです。対価はそうですね……、咲耶様の作ったお菓子にしましょう。それならば、咲耶様も気にせず皆の所に行けるでしょう?」


クロガネの命令に、烏たちは小さな頭を上下に頷いて見せると、ぽんと音を立てて人型を形取る。食器を洗う者と洗い終わった物を拭いて片付ける側とに分かれて作業する様だ。


「クロガネさん。この子たちは一体?」

「この者達は、私の使い魔達です。私の命令に従い姿形は自由に変えれます。ああっ、咲耶様のお菓子を少し分けて頂けると助かるのですが。」


クロガネの言葉に、咲耶は作り置きのクッキーを数人分袋に入れ、テーブルの上に置く。


「手伝ってくれてどうもありがとう。良かったら仲良く食べてね。また、時間がある時に作り置きしておくから!」


咲耶の言葉に、使い魔達はニコニコ顔でうなずくと、黙々と作業を開始したのである。


そんね可愛らしい烏たちを残してクルード達が居る場所にやって来た2人は、出来上がった呑助達の姿を目撃した。 

クルードは床で倒れる様に寝ているし、ドゥーロはハヤテを抱きしめたまま壁に背をつけ寝ている様だ。抱きかかえらたハヤテはクチバシでドゥーロを突くが、全く起きる気配がない。 クロガネが見かねて、ハヤテを解放してやると、少し離れた場所で止まり寝てしまったようだ。

そして残ったカザミとカンザールは、酒の飲み比べを始めていたようだ。テーブルには空になったグラスが沢山転がり、部屋には酒の匂いが充満している。


「はぁ〜。こんな状況では、咲耶様に楽しんでもらうのは無理そうですね。今日は諦めてお休みになられますか?」

「そうですね。色々起こりすぎたし、今日は先に休みます。でも、カザミさん達をそのままにしておいてもーー」


心配する咲耶に、人外の者達はこれくらいでは風邪などひかないから大丈夫だと言い包め、咲耶を自室に送っていった。


「大変な1日になってしまい、お疲れでしょう。今日は何も考えず、ゆっくりお休み下さい。全ては明日、皆の頭が正常になってから考えましょう!」

「はい。家の中は好きに使ってくださって大丈夫ですよ。クロガネさんも、程々にして休んで下さいね。」


扉を閉めながら声を掛けてきた咲耶に、見透かされていたクロガネは、今日の所は自分も休む事にした。


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