咲耶とまたまたお騒がせドゥーロ
「薄々気づいていると思いますが、私たちはこの星トリフェーンの滅びを止める為にやってきました。」
「その言い回しだと、この星の誰かが救いを求めたといわれるのか?」
「はい。私たちの元にたどり着いたのは、そこに居るドライアドのドゥーロくんただ1人。でもそれは、こちらの世界の支援者の力を借りての危険な方法でした。」
咲耶は一旦言葉を切り、思い返しながらカンザールに話してきかせたのである。
自分等がどうしてこの世界に来る事になったのか? 何故ゆえ、カンザールの力が必要なのかを切々と言い聞かせた。
「ほう。中々面白い話しですな。だが、その話しの裏付けがないのがなんとも困ったところですなーーいや、ドライアドの子供はブレスレットをしておりましたな?」
「はい。世界樹の樹より作り出されたブレスレットを、ドゥーロくんの主人である竜族の長の1人、地龍のカーリアン様から預かった大事なブレスレットを身につけていますよ」
まあ、紛失事件があった事は黙っておき、ドゥーロの手首に収まっているブレスレットを指差した。
「ドライアドの子供よ。その手首にある物を私に見せてくれんかね? ああっ、食事の手を止めずとも良い。ブレスレットをした手を私に突き出してくれませんかな?」
ドゥーロは器用にも空いている片手でパンを口に運びながら、ブレスレットをカンザールに見えるように突き出した。
ブレスレットの表側には竜が描かれており、裏側にすると咲耶達には読めない文字らしきものが彫られていた。だが、カンザールにはその文字が読める。
「これは……。紛れもなく本物の通行証ですね。それも、竜族の治める封印地の扉を通過する事が可能な最上級の代物とみえる。だが不可解ですな?」
「と言いと?」
咲耶に話を促され、疑問に思っていた事を口にするカンザール。
「このタイプの許可証は、竜族の護りし扉が近くにあると、なんらかの合図をもって知らしめると聞く。ドライアドの子供よ、お主の主人より何等聞かされていないのですかな? 例えば、どこか指定された場に行けとか、ブレスレットを誰かに見せるように言われたとか?」
ドゥーロは真剣な眼差しで見つめてくるカンザールに、食事の手を止め主人から言われた言葉を思い出し始めた。
「ええっと……、たしかーー。」
『幼子よ。お前を一人で行かせるのは心許ない故に、この護りを渡す。求めし御方を見つけた時は、その方の手首にこれを身につけて頂くのだそ? 良いな?』
「あっ⁈」
「なんじゃ、そのあっというのは。小僧っ子よ、お主はまた何かとんでもない事をわすれとったな?」
聞き手に回っていたクルードが、ドゥーロの顔を覗き込む。固まったままのドゥーロは、心底申し訳なさそうに咲耶に謝ってきた。
「ごめん。このブレスレット、ここに来てくれる人が見つかったら、渡す様にって言われてた……」
ーーーはあ⁈ーーー
自分の失態に縮こまるドゥーロを、他の者達のら抗議の声が木霊するのであった。




