咲耶と小さな祈り
「わぁ⁈ って、あれ?」
ドゥーロの視界に飛び込んできたのは、紛れもなく咲耶の家の景色。少し前までいたので、間違えるはずはなかった。
そう、実物の扉がなくても、咲耶達が「その物を扉と認識」すれば道が繋がるという事を実証したのだ。
「ホワイトのやつ。オレを実験台にしたな? 失敗したらどうするつもりだったんだよ」
最初の衝撃が過ぎ去り怒りが沸き起こり出したのか、元凶のホワイトの文句を言い出した。
「ちょっとばかり魔法ー じゃなくて、術が使えてカッコいいからって、仲間外れにするな!」
地面に胡座をかき、巻き添いを食らったハヤテに愚痴る。
「カー カー」
ハヤテは、翼を何度も羽ばたかせドゥーロを慰めてやりつつも、樹々の方へ向かうように促す。
「カー」
(早く取りかからないと、いつまでたっても終わらないぞ?)
「分かってるよ。チクショ……、ホワイトの奴、絶対に仕返ししてやる!」
握りしめて心に誓うドゥーロ。だが、倍返しを受ける姿が浮かぶハヤテであったー
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「おいおい、本当に繋がってしまったのか?」
地面に描かれた扉を見つめながら、クルードが問う。
「今頃、向こう側でオレの文句を言ってるだろうな。だが、これで仕事が捗るだろ? アイツはこの場所に居るより、苗木を増やしてもらった方がいいんだしさ。」
足で扉の絵を消しながら、残されたメンバーに話す。
「まあ良いのでは? この場所でだいぶん時間を使いすぎたようですし、そろそろ酒場に向かってもいい頃合いですしね。」
空を仰ぎ見ながら、クロガネはホワイトを擁護した。
「でもね、ドゥーロくんと残してきた竜が、喧嘩しないでいてくれたら良いんだけど、無理かな?」
心配げに呟く咲耶に、苦笑いをする3人組だった。
「まあ、ハヤテの奴が上手くやってくれるだろ。なあ、クロガネ?」
「こちらの眷族を、都合よく扱うのはやめてほしい所ですが、今回は大目にしておきますよ。」
クロガネの言葉に、ホワイトは喜んでみせる。
「流石、クロガネさん。後でとっておきの酒をだすから許せ」
肩を軽く叩きながら、許しを乞うホワイトに、クルードが抗議する。
「美味い酒なら、ワシにも寄越さぬか!」
酒の話になると、目の色を変える。3人で酒談議が始まったので、咲耶はカップらを片付けながら、石を埋めた場所をみつめる。
「もっとたくさんの石を、大地に贈らないと駄目だね。頑張るから、諦めないで待っていてね。」
誰に話しかけるでもない咲耶の呟きだが、風だけはしっかりと受け止めていた。




