咲耶と選定会議
「さて、植物に欠かせない水の供給問題は、解決の糸口がみえました。次は、この街に必要な果実を豊富に収穫出来る樹木。何処に植樹するかですね。」
「ならば、この場所で問題なかろう。水は安定して大地から供給出来るし、広々とした場所の方が木々達も大きく育ってゆくじゃろうしな。どう思う、ドゥーロ?」
大地に詳しいクルードが、樹の妖精のドゥーロに問う。
「この土壌に風通しの良さなら、問題なく成長してくれる筈だ。果実樹だけじゃなくてさ、何か花を咲かせるのとか香りを楽しむ樹木なんかがあってもいいな。」
流石に植物関係の話になると、俄然やる気が違うドゥーロ。植物側にたって、色々提案してくる。
「ならさ、食べられる果実は林檎にしないか? 街の探索に行った時、その甘さに驚いた感じだったからさ」
「なら、林檎でも数種類の樹を植えましょう。一種類だけだと、後々飽きてしまうかもしれませんしね」
ホワイトの言葉を取り入れ、クロガネがメモをとってゆく。
「後は、香りや花を楽しむか……。咲耶様、白木蓮はどうかの? ドゥーロの条件に合うと思うのじゃが。」
「白木蓮なら香りを楽しめるし、白い花を咲かせるからたくさん植樹すれば、開花した時は目を引く美しさになりそう。それに、花言葉がこの場所にピッタリかもしれない」
「花言葉ってなんだ?」
初めて聞くのか、ドゥーロがクルードに尋ねている。
「ん? こっちの世界には、物に別の意味を持たせる読み方や意味合いはないのか?」
「どういうこと?」
クルードの言葉に、ますます頭を悩ませるドゥーロ。そこに、クロガネが先程のアクアマリンを例に挙げ説明する。
「ドゥーロくん。先程の石を見て、何故水が呼び出されたのかを疑問にかんじませんでしたか?」
「んーー。何か地球の魔法かと思ってた。」
ドゥーロの発言に、地球組は脱力する。
「は〜。何を馬鹿なことを。咲耶様は、今まで魔法などという異能の世界とは関わりのなかったと、君でも知っているでしょう?」
「あっ、そうだった。何か時間の感覚が狂って、もうだいぶん昔に聞いたなぁ〜。」
無理もない事だ。地球で咲耶を連れ出す事から始まり、時空間移動と咲耶の自宅での竜とのやりとり。その後は、この街での活動。
軽く2、3日は経過している。咲耶以外の人外メンバーは、眠る事なく活動できるが、咲耶は隙を見つけては仮眠をとっていたりしていたのだ。
「本当に、お前は……」
ドゥーロの頭をグリグリと拳で押さえつけながら、ホワイトがため息をこぼす。
「はぁ〜。分かるように説明するので、真剣に聞くのですよ?」
「ああっ。」
皆の心配をよそに、ドゥーロはウキウキ、そわそわしている。
ーー本当に大丈夫か⁈ーー
頭を押さえる地球組メンバーは、ドゥーロの言葉を、全く信用することが出来なかったのである。




