咲耶と宝石の意味
「ホワイトよ、エルフ探しはどうなった?」
香り付け程度ではやはり足りなかったのだろ、酒瓶を口に運びながらクルードが提案する。
「それなら、バーの、マスターがエルフだった。土産に酒を置いてきたから、夜更けに店にいってくる。それとも。みんな一緒にくるか?」
ホワイトの問いかけに、全員がうなずく。
「ならば、エルフの件は解決したも同然ですね。ならば、大地の再生法に移りたいと思います。ドゥーロくん、この世界の植物達はどの様にして、栄養や水分補給を行っているのですか?」
クロガネの質問に、菓子を摘まむ手を止め話し出した。
「この世界は、元々水源がほとんどなく、魔法や魔力を体内に取り込む事で生命活動を維持してる。」
「水源がほとんどないとは、どうしてですか?」
クロガネの問いに、ドゥーロは首を傾げる。
「オレが生まれる前からの状態みたいだし、魔力が世界中に満ちてるから、そこまで気にしなかったんじゃない?」
「それで生きて行けるとは……、やはり進化の過程が違うのでしょうね」
この世界の植物は水が無くても大丈夫かもしれないが、これから咲耶達が植えようとしているのは地球原産の植物達だ。肥沃な土地はなくとも、水が必要不可欠。
「水か……。クルード、何か良いアイデアは思いつきませんか?」
「そうじゃの〜、ワシらは魔法に関しては素人。近くには水源らしき痕跡すらないときておる。ならばじゃ、咲耶様の力を使ってみるのはどうじゃ?」
「私の力?」
クルードの発した言葉に、咲耶は首を傾げる。
「ガイア様から聞いた話じゃが、咲耶様の力は、物の本質を具現化出来るという。」
「それは、こう言うことか?」
ホワイトが地面に図を描きながら説明する。
「咲耶様が、地球から持ってきた石。まあ、アクアマリンや水属性の宝石やパワーストンに、力を付与する事で水が生まれる石が出来上がると?」
ホワイトの言葉に、クルードはうなずく。
「そうなんだ。じゃあ、出来る出来ないは無視して、ダメ元でやってみようか」
前向きな発言の咲耶に、地球から付いてきた三人組は「おやっ?」と、思った。
出会った頃の咲耶ならば、魔法や異能の力はまったく信じてはいなかった。だが、この短時間の間に、様々な事を体験してきた。
その要因もあるのかもしれない。
「それでは、試してみるとしましょうか?」
クロガネは懐に手をいれると、薄い青色の石を取り出し咲耶に手渡した。
「これはアクアマリン?」
「はい。どうぞお使い下さい。」
どうして都合よく持っていたのか、問いかけようか悩んだが、止めておく事にした。それはクロガネ以外の者達の内心だったが、無駄だろうと悟っていた。
「じゃあ、始めてみようか」
咲耶は手の中にある石に、力を与えて始めるのだったーー




