咲耶とティータイム
「さて、ホワイトも無事合流する事が出来ました。現状報告とこれからの予定を話し合いたいと思います。」
町外れといっても、外壁が崩れさり野ざらしになった見晴らしの良い土地に、枯れ木が数本立ち並ぶ寂しい風景。
クロガネは、自分達に近づくものがいつ現れても分かる場所を待ち合わせに指定した。
「咲耶。朗報をもってきたぞ!」
咲耶の頭を優しく撫でながら、ホワイトは満面の笑顔だ。
「単独行動、お疲れさまです。皆さんも、立ち話は疲れてしまうので、少し遅いランチにしませんか? ここに来る前に、自宅から色々な物を持ってきたので……」
咲耶はそう言うと、ガイアから譲り受けた時空間収納から、レジャーシートと大きめの籠を取り出す。
「ほう、大分異能生活に慣れてきたようじゃな?」
昨日までは普通の生活をしていた咲耶だ。わからない事や疑問は、クロガネがその都度フォローしていたのだ。
「咲耶様は飲み込みが早くて、私も助かっております。咲耶様、シートを広げるのはドゥーロに任せてて、食べ物の方を任せてよろしいですか?」
「はい。じゃあ、ドゥーロくんたのんでいい?」
綺麗に畳まれたシートを渡しながら、ドゥーロにお願いする。
「分かったよ。でも、絶対にあのお菓子も用意してくれよ。」
「あのお菓子って、ハヤテと一緒にたべていたクッキー? それなら、こっちの缶に沢山用意してあるから。」
咲耶の言葉に、ドゥーロとハヤテのコンビが即座に反応する。早くお菓子をもらおうと、協力してシートを広げ始めた。
「へぇ〜。咲耶様も、だいぶんあのコンビの扱いに慣れてきたみたいだな」
人数分のカップを籠から取り出して、咲耶に一つずつ渡してゆく。
「じゃあ、みんなシートに座って。クロガネさん。食べ物をみんなの前に置いてくれますか? ホワイトさんは、カップにお茶を注ぐので、みんなに手渡して下さい。」
『はい、咲耶様』
咲耶の指示のもと、温かいお茶と食事の準備が完了する。
「今回の茶の中身はなんじゃ? 」
「アールグレイの紅茶です。お好みでミルクやお酒を入れて下さいね?」
「ほう。流石咲耶様じゃ、話が分かるのぉ〜
ほれ、ホワイト。なんか良い酒をよこさんか!」
小柄なドワーフが、せの高いホワイトににじり寄る図柄。あまりみたくはないが、勢いに負けたホワイトが荷物の中からコニャックを取り出して、皆の前に置く。
「どうせ大人組は、全員いれるんだろ?」
そう言いながら、自分も香り付け程度に紅茶に酒を垂らす。
「ああっ、ドゥーロはまだ早いからやめておけよ。」
そっと横から手を伸ばしてきたドゥーロを、ホワイトが牽制する。
小さな舌打ちをこぼしながら、目の前のクッキーの山に目標を移す。
「さて、一息ついた所で、本題に入りますよ。食事をしながらで良いので聞き漏らさないでくださいね」
クロガネは一言そう告げると、これから自分達に何ができるかを、皆に問いかけるのであった。




