咲耶とやってみたい事
出発まであと1時間……
「咲耶は、彼方の世界で何かやってみたい事とかないの?」
「やってみたい事ですか……急に言われても、思いつきませんが。」
ガイアの問いかけに咲耶は即答する。
自分がやってみたい事ーというか、気になっている事はある。
「ガイア様。私はドゥーロの世界に着いたら、ただひたすら癒す作業に従事するのですか?それとも、ゲーム世界の様に戦ったり旅をしたりするのでしょうか?」
「そうね〜」
ガイアは少し遠くを見つめ、ぽつりと呟いた。
「多分、咲耶が興味がある事ならなんでもやってみたらいいよ。冒険者になってみても良いし、私に入れてくれたこのお茶とお菓子を扱う店をやってみても良いし。とりあえず、癒す事を妨げなければ、なんでもやってみれば良いと思うわよ〜。」
「なんでも? それは、15歳の私でも出来る事でしょうか?」
「ええ。向こうの世界の感覚では、咲耶は成人していると考えられるかな。だからね?」
暗になんでもしてみると良いと言われたら、咲耶自身も考えが膨らむというものだろう。
「ですが、店を経営するにしても、必要な物とか土地とかはどうすればいいのですか?」
「それならドゥーロにって言いたい所だけど、任せたら心配だものね〜。そうだ、咲耶のこの家をリフォームしたらどうかな?」
「外見や内装なども含めて手を加えるのですか?それをするにしても、時間がないのでは……」
「大丈夫よ。物質を変化する事など神である私には遊びのような作業よ。
じゃあ、家に手を加えても大丈夫?」
「はい。よろしくお願いします。」
「いい返事ね。じゃあこの際だから、リクエストがあればなんでも言っていいわよ〜。」
「それなら、こんな風な建物にできますか?」
咲耶は手元にあるメモに、具体的な図を描いてみせる。
口で説明するよりも、イラストの方が数倍わかりやすいだろう。
「じゃあ、このイラストの感じでリフォームするわね。まあ、後でやり直したくなれば、ドワーフのクルードを頼るといいわ。じゃあ、時間もない事だし始めましょうか!」
ガイアの楽しげな声に、咲耶も自然と笑みをこぼした。