閑話 ハヤテ日記
《ハヤテ日記》
○月×日
これは、のちの世に語られる、烏のハヤテの記録である。
ーザクッザクッ……ポロッ……ー
ーポンポン……ー
「次〜」
ーザクッザクッ…ー
「なぁーハヤテ〜。ちょっと休憩しないか?」
「カァ?」
(神さまから頼まれた仕事を放棄するのか?ありえない)
ドゥーロの声に烏のハヤテが、愛らしく首を傾げる。
「えー? サボってたら、怒られるぞって言うのか? それはないだろ。ガイア様はあの聖女にかかりっきりで、オレの事など気にしちゃいないはず。だから〜」
「お願い!」
両手を顔の前で合わせ、烏のハヤテに拝み倒す。
「カァーカァー⁈」
(駄目駄目ー。あと少しで全部埋め終わるんだから、頑張れよ!)
ハヤテはドゥーロの髪を、クチバシで摘みツンツンと引っ張る。
次のポイントへ行こうと促すが、その場に座りこんでテコでも動きそうにない。
「カァ…」
ハヤテは強行手段に出た。ドゥーロの後ろ頭に回り込み、頭に勢いよく蹴りを入れる。
➖ドカッ➖
「痛っってーー⁉︎」
ハヤテの飛び蹴りをまともに受けたドゥーロは、あまりの痛さに涙目になっている。
「ちょい待て、今のは本気で痛かったぞ。爪が刺さって痛いしー」
「カ、カァ! カァカァ!」
(当たり前だぞー。サボりなんで許さないからな!)
「わかって、わかったから、突かないでくれ!」
ハヤテのクチバシ攻撃に、ドゥーロは大人しく作業に戻ったのだった。
「カァ〜」
(やっぱり、着いて回らないと心配な奴だぞ。此奴は!)
ハヤテの心の1ページに書き込まれた瞬間だった……