咲耶と魔力操作
ー大気に存在する魔力ー
樹木が酸素を作り出すときに微量に含まれている。地球では、誰も知らないし科学力が進んでいる現代では解明される事のない未知の力。
その魔力の流れを感じ取る事が、力を使う上での必須条件である。
「大丈夫よ、恐れずにリラックス〜。
私が補助をするから、頭の中を空っぽにして…」
咲耶と手の平を合わせ、自らもリラックスした口調のガイアが咲耶に指示をだす。
ガイアの手の平から、暖かい何かが咲耶に流れ込んでゆく。そして、同じ様な暖かな何がが身体の外側からゆっくりと流れこむ。
「これが?」
「そうよ、今は其処にある事を感じ取るだけでいいから〜」
外側からの温もりを感じ取りながら、このやり方は瞑想だと感じる。
心を落ち着ければ、ガイアが伝えたかったやり方が、ストンと理解できてきた。
それと共に、自分の中心にもその魔力溜まりがあるのがわかる。
「ガイア様、身体の中心にあるこの暖かな力を魔力と呼ぶのですか?」
「うん。やっぱり咲耶は、飲み込みが早くて助かるわぁ〜」
ガイアは咲耶の片手を触れさせ、次の指示を出す。
「さあ、この鉢植えの土の中には、枯れてしまった花の種が植えてあるわ。
咲耶の魔力を自分の意思で流してごらんなさいなぁ〜」
冷たい鉢植えが指に触れ、その感触で手先がピクリとふるえる。だが、次第に手の平が熱を帯び汗がではじめる。
鉢植えがカタカタと音を鳴らし…
「ウンウン。初めてにしては、上出来よ咲耶!」
「凄い!」
2人の視界に映ったのは、細っそりとした枝を伸ばした枝先から花を咲かす、一輪の桜の姿だった。