咲耶とプレゼント
「今現在、咲耶が出来る事といえば、自分が触れたものを『癒す』という事だけど、無意識だから、自分からは使うことができないのよね〜。だ・か・ら、ここで教えるのは咲耶の能力の転用方法と、魔力操作の訓練方法、回復能力のやり方を教えていくわね〜」
咲耶は遅れないようにメモをとりながら、ガイアの話を聞く。
「まず、回復能力のやり方だけど、というか、今から教える全ての作業は『イメージ』する事が大事なのよ」
「イメージ?ですか…」
咲耶の戸惑いの表情に、ガイアは噛み砕いて説明する。
「咲耶は読まないかもしれないけど、人間たちが空想に作った物語のように、呪文や道具類、魔力を帯びた薬など実際にあるのよ」
「ゲームの世界観がそのままあると?」
「まあ、向こうは私達の世界より、極端に人間が少ないからなのだけど、私の口から話してしまうと、制約に触れてしまうから自分の目で確認してみなさいな〜」
神という存在でも、守らねばならない条約があるのだろう。でなければ、こんな周りくどいやり方をしないはずだ。
「向こうに着いたなら、あらゆる事を教わるより、実際に自分で体験して慣れていく方が良いという事ですね?」
咲耶の理解の速さに、ガイアは満足そうに頷く。
「そうそう、じゃあ力の使い方から始めましょう。」
ガイアはそう言うと、何もない空間から植木鉢を1つ取り出した。
「ガイア様、手の先が消えたように見えるのですが…。其処に私が見えない何かが存在しているのですか?」
「そうよ。私の管轄の地球の民、それも咲耶と同じ日本人の一部は想像力が豊かで面白いのよ〜。咲耶の役にたちそうだったから真似して作ってみたの」
ニコニコ笑顔で、鉢植え以外の物を机の上に載せていく。
咲耶が手を出した事ないゲーム端末や、製菓道具類など。
側から見れば不思議現象であった。
「この収納庫は咲耶にあげるから、利用してね。あと、色々中にプレゼントも入れておいたから確認してね〜」
さすがは神というべきであろう。色々な設定が無茶苦茶である。
今まで関わりのなかった咲耶には、頭の痛いプレゼントだ。だが、そこは有り難く受け入れる事にする。
「有り難く頂きます。それよりも、力の使い方を教えてくださると大変ありがたいのですが。あまり時間がないとの事なので」
ガイアの機嫌を損ねない程度に教えを乞う。本人も、その事はわかっていたので、収納庫の使い方はクロガネに説明させることにした。
「じゃあ、この鉢植えを使ってやってみましょうねぇ〜。」
咲耶の前におきながら、訓練を始めるのだった。
更新時間を変更してます。
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