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異世界から引っ越してきた聖女です。  作者: 金木犀の夢華


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咲耶と夢の内容


咲耶は近頃、同じ夢をみるようになった。

この世界に来てから、いや、クルクリの大地にアクアマリンの水の力を借りた辺りから、繰り返しみる不思議な夢。


「あの巨大樹の見える陽当たりの良い丘で、桜を眺めている私がいるの。」

「その桜の樹は、どれくらいの大きさでしたか?」


クロガネの言葉に、咲耶は目蓋を閉じ夢を辿りながら質問に答える。


「地球の公園に植えてあった二、三十年位の立派な桜の樹の根元に座って、舞散る桜の花びらを静かに眺めているの。そして、私の隣には、自分より少し背の高い男性が横に座り、私が用意したお菓子を美味しそうにニコニコしながら噛り付くの」

「ん? 噛り付くというのは……その人物は何を食べているのですか?」


咲耶から出てきたキーワードが気になり、思わず会話の途中であったが問いかける。


「うん。多分私が作った林檎飴を、口一杯に頬張りながら2人で桜の樹を見上げているの」

「咲耶様。話に出てきた林檎飴とは、祭り等で見かける屋台で売られていたお菓子ですよね?」

「うん。唇は真っ赤になっていないから、着色は使っていない、ただ林檎に飴をコーティングさせたシンプルな物だと思う。」


クロガネはそこまで聞き終えると、色々と疑問に感じる事を咲耶に質問し始めた。


「ところで咲耶様、その桜の樹の周囲にはお2人の姿だけでしたか?」

「そう…だね。世界樹が見える場所だけど、なんか別の場所のようにも感じられる不思議な感覚がしていたよ?」


世界樹の見える場所でありながら、2人だけが存在する場所ーーこの先の未来につくられる刻なのであろうか? そうなると、咲耶が見ているのは予知夢と言う事になる。

それも同じ内容が繰り返すのならば、何か意味があるのだろう。


「だからですか。突然、砂糖をこの世界で創り出そうと計画されたのは。」

「うん。まあ、この街で収穫出来れば、生活は幾分助かると思ったの。特産品にして、行商人に遠くの街に売ってもらうなりすれば、少しでも街の収入になるんじゃないかなって」


まあ、砂糖のように甘い考えだと思いつつも、綻びの部分は自分達が手助けすればどうにかなるだろう。


「それで、植物を育てる為の土壌造りに必要な石を沢山作ったり、創作魔法で砂糖が収穫出来るような植物を考えていたのですか?」

「その通りよ。でも、石を創り出す事は上手くなり始めたけれど、砂糖を収穫できる植物となると……」


ため息をこぼす咲耶に、クロガネはひとまずこの話を横に置いておく事にした。咲耶が少しずつ眠そうにしてきたからだ。


「咲耶様、今はお休みください。眠気が来ているでしょう?」

「う……ん。ちょっと、眠くなってきたー」


目元を擦る咲耶に、布団に入って眠るよう促すクロガネ。


「朝までには幾分か眠る事が出来る筈です。今は少しでもお休みください。」

「分かった。クロガネの言葉に従うわ」


布団に潜り込む咲耶を視界に捉えながら、カップを片付け部屋を出ようとするクロガネ。


「どうか夢を見ずにお眠り下さい。」


クロガネはそっと扉を閉め、部屋を後にするのだった。


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