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異世界から引っ越してきた聖女です。  作者: 金木犀の夢華


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咲耶の1人作業


「1個…2個……」

ーーカッ。ポイッーー


朝日も射さぬまだ薄暗い部屋の中、咲耶の呟きが溢れる。

咲耶の近くには、次々と具現化した石が籠の中に沢山あった。

竜との約束である5種類の石の具現化と、天馬が欲しがっている花を植える為の下準備の石を、大量に具現化している最中であった。


「だけど本当に、昨日は大変な1日だったな〜。カンザールの誘いで休む筈だったのに、色々とやらないといけない事は増えるし、練習で創りだしたアクアマリンは、世界樹の廻りに埋めたからなくなってしまったし……。まあ、有意義な1日になったから、良しとしないとね。」


1人ごとを呟くなかでも、大量の石が沢山創りだされてゆく。今日のノルマの石は。


アンモナイト、エピドート、グリーンガーネット、ガーデンクォーツ、ファントムクォーツの5種類だ。


咲耶自身も、本の説明文を見ながら初めて聞く名前の石ばかりだ。今回は、回復や浄化の意味を持つ石を優先に選びだした。



*アンモナイト=属性は地。満足・生命力・守護。



*エピドート=属性は地。リラックス・

受容・寛大・許し。



*グリーンガーネット=属性は地。豊かさ・目的意識・解毒・獲得。



*ガーデンクォーツ=属性は地。精神安定・願望達成・祈願成就・植物。



*ファントムクォーツ=属性は地。再生・成長・新陳代謝。


「なんだか見事に地属性ばかりに偏ってしまった感があるなぁ……。だけど、今のクルクリの街には必要なものばかりだから、仕方ないか。」


そう自身に言い聞かせては、黙々と石を創りあげてゆく。そうして1時間ほどの短い時間で、5種類の石の具現化が完了したのである。

「あれ? なんだか、昨日よりも短い時間で具現化出来たような気がする。それに、あまり疲れた感じがしない。」


座りっぱなしの作業で、若干の疲れはあったが竜と創った時程の疲労感は感じられない。

まあ、少しづつ具現化に慣れてきたのだと納得して、これからまた大量に必要になる石。アクアマリンの具現化に取り掛かる。


「結局昨日は、カーモスが里内部に水飲み場が欲しいって懇願するから、帰宅ギリギリまで大地にアクアマリンを埋める作業をしてしまったな。練習で創った大きめの石達は、全部使い切ってしまったし……」


白い実を付ける花を植える為には、まずは水源確保が重要だと。カーモスの言葉に押し負けて、比較的に元気な樹々の近くや住民達が居ない水飲み場、枯れ初めていた湧水等に石を与えてきたのだ。だから、昨日創れた黄色い花を再具現化するのは、今朝が初めてなのである。


「こんな時間じゃないと、感の良いカザミが絶対に部屋にまで乗り込んで来そうだし。竜の里に広げて行く為には、短命の種より種を残して裾野を広げられるほうがいい。だけどなぁーー」


カーモスの希望としては、『天馬の涙』に近づけて欲しいみたいだが、そうすると、この街の特産品に出来ないかという、咲耶の企みが破綻してしまう。


「うーん……。どうしよう?」


1人であれこれノートに書き出し作業をしていたその時。


ーーコンコンーーコンコンーー


少し控えめなノックが繰り返した後、少し機嫌が悪いクロガネが入ってきたのだった。


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