閑話 トリフェーンを探索しよう8
「ウ〜ン。ほんまに甘いわぁ……」
「本当ですね。これが魔力とイメージ力でつくられたとは信じられないです。」
あれから咲耶は、今回同行したメンバー分の花を創り出す作業に追われていた。天馬だけ食べるのはズルいと、その場にいた全員が試食を切望した為だ。
「じゃが、魔法や魔力を使い始めて日の浅い咲耶様が経験を積んでゆけば、今以上の再現カや夢からの創作物が創れるようになるんじゃないかの?」
「それは有望ですな!」
クルード達の会話を聞いていたクロガネだったが、何か思う所があるのか、他の者達に気がつかれない様に、天馬の元へ向かう。
「カーモス殿、少しお話しさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「なんだい、異世界の者よ。」
「我々は今、この街に植物を植えようと考えています。ですが、我々の異世界の植物がこの街で無事に育つという保証はありません」
クロガネの問いかけに、何が言いたいのか理解した天馬は、その先をクロガネに言わせなかった。
「なるほどーーだから、この私の前で咲耶様に花を創らせたのだな? 食えない者だな、異世界の策士殿は……」
「いいえ、私は咲耶様の執事に過ぎません。あの方のなさりたい事を先読みし、願いを叶える為に全力を尽くすのみです!」
誇らしく胸を張って宣言するクロガネに、そして咲耶を取り巻く仲間たちを静かな眼差しが射抜く。だが、そんな冷たい眼差しも一瞬の事。
「ならば、貴方達に敬意を評し、咲耶達の願いの手助けに名乗りでよう。」
カーモスが力強く言葉を発すると、次の瞬間には、その場所に、居た者の手首に見覚えのあるブレスレットが身に着いていた。
「このブレスレットは……まさか⁈」
「そうだカンザール。世界樹のブレスレットが意味する事は1つ。守護者カーモスの名において許す! この地を自由に使うと良い」
「という事は、この場所でなんでも行って良いということですか?」
クロガネの念入りの質問に対して、カーモスは内心では少し気分を害したが、そこは心配性の執事の性格だと考え直した。
「そうだ。まあ、あまり無茶をしないでくれると助かるがな。」
「でも、延いてはそれがこの世界を、世界樹を救う事になります。」
自分に言い聞かせるような口振りの咲耶に、心惹かれるカーモスだった。




