閑話 トリフェーンを探索しよう6
「なぁなぁ咲耶はん。竜はんと練習した奴、ここで成果を見せてくれへん?」
「今この場所で? でも、実際に見ながらではないから、成功する確率は低いよ?」
それでもいいからと、押し切る形で創作魔法を行う事になった咲耶。
これから何が行われるのか興味津々のカーモスが、顔見知りであるカンザールに問いかける。
「カンザール。聖女様たちは何をするつもりなんだ?」
「今から行われるのは、咲耶様の能力の1つで創作魔法と言われるものだ。あの方は自分が目にした物を実体化出来る能力の持ち主だ。だが、説明されただけの物と自分自身が理解したものとでは、具現化の成功率に開きがあるそうだ。」
カンザールの説明になんとなく理解したが、その花を実際にみた自分やカンザールが詳しく説明すればどうなるだろう? そう思ったカーモスは、そっとカンザールに相談をもちかけだ。するとカンザールも、その案に賛成した。少しでも成功率が上がれば、その分咲耶の負担が減るのである。
「咲耶様。その花の様相ですが、丈は指先から肘くらいの長さで、黄色い花びらが幾重にも重なる甘い香りがしておりました。」
「後は、実の所の部分だけど、白く丸い形で口に入れたら、ほろっと溶けてしまう感触だったかな。」
「それは、こんな感じでしょうか……」
咲耶は地面にカンザール達から得た情報を基に花の絵を描きだしてみた。
「うーん。若干花びらの所がちょっと違うが、様相などはよく描けてると思う。それで今度は、この絵を元に咲耶様が実体化するのだな?」
カーモスの確認を求める声に、頷いてみせるカンザール。
咲耶が一心に魔力を両手に集め始めた。額には薄っすらと汗が見える。
「お願い……」
咲耶の小さな呟きに、淡い光が咲耶達を包み込む。その一瞬後にはーー
「まさか⁈」
カーモスの驚嘆する声が響く中、一輪の黄色い花が、静かに風に揺れていた。




