閑話 トリフェーンを探索しよう5
咲耶を異世界の聖女と呼ぶのは、地球では神話に登場するペガサスそのものであった。
「本当に、翼が背に生えた馬の様な生き物じゃな。ワシらも初めて目にするわい」
咲耶達を遠目に、クルードが自分より高い生き物を見上げている。
「まあこの世界は、地球でいう神話の生き物が沢山おる様やし、ペガサスが現れはっても不思議やないわ〜」
「それも、金色ときましたか……。あと、『守護者』とも聞こえましたね」
地球の3人組は、ペガサスに興味がある様だ。その賑やかな声で、ペガサスの意識も地球の3人組に向けられる。
「異世界よりのお客人よ、よくぞ参られた。私はカーモス。この世界樹の庭の護りを任されている。」
咲耶から名残り惜しそうに離れ、顔を皆に向ける守護者カーモス。
「カーモス。ちょうど良かった。この場所を咲耶様にお貸しできないですかな。」
「まあ、聖女殿には自由に使ってもらって構わないが、この場所で何かなさるのかな?」
カーモスの問いかけに、咲耶はこの街の食糧事情をどうにか改善出来ないものだろうかと話し始める。
「クルクリには今後、自分達で必要な食べ物を育てるという自給自足が課題になると思います。その為、大地の活性化と並行してこの街の土壌に合った植物つくりが課題なんです。」
「なるほど。その実験にこの場所を使いたいと言われるのだな? まあ、誰も使い手のいない場所なので、好きにしてもらっても構わんよ。」
カーモスのお許しが出て、安堵感に包まれる咲耶達。しかし、もう一つの本題である不思議な花の事をカザミが尋ねる。
「なぁ守護者はん。アンタさんはカンザールが見たという甘い実をつける花の事を知ってまへんやろうか? ウチの予想やと、その花が咲くには天馬が関わってる様な気がするんや〜」
「甘い実をつける花……。それは天馬の涙と呼ばれる植物の事かもしれないな。だが、何故お前たちがそれを知っている?」
やはりカザミの推測通り天馬が関わっている様だ。それもあまり知られると困る感じが窺える。
「あの花は、天馬の子供の幸せな感情で生まれてくる不思議な植物。それも、その実を付けてしまえば、その役割を終えてゆっくりと枯れていく花だ。」
「そんな花なら、手に入れるんは無理やな。なら、別の方法でいくしかないわ。」
カーモスの話で諦めたカザミは、次の作戦に出ることにした。
「なぁ咲耶はん。ちょっとやってもらいたい事があるんやけどーー」
「ん?」
カザミに耳打ちされる咲耶。最初は静かに聞いていたが、だんだん戸惑いの表情に変わる。そんな2人をクロガネ達が気の毒げに見守るのであった。




