閑話 トリフェーンを探索しよう4
カンザールの故郷、風の里には黄色い花の中心に白い実をつける花があった。
それは誰か植えたのかも、何処で咲くかも分からぬ不思議な花。
「あれは確か、里の見回りで少し遠出した際に偶然発見したはず。我が愛馬の天馬と仲良く分け合ったのを覚えている。」
「なぁ、その花は同じ場所に咲いたりしてたやろうか?」
カザミはその花の情報を出来るだけ多く知りたがった。
トリフェーンで地球の砂糖の代用品になるかもしれないからだ。
「残念だが、何度か同じ場所を通りはしたが、その花とは遭遇することは叶わなかった。ただ……」
何か思う事があるのか、自信なさけに記憶を辿るカンザール。
「何や、なんでもいいから思い出した事を、話してや。」
「そうですな。あの時は確か、珍しい天馬の群れを里の外側で見かけた事くらいですかな。」
「なら十中八九、その花が咲いた要因は天馬の群れが関わっとるわ!」
カザミ達が、不思議な花の事で話し合っていると、何か巨大な羽ばたきの音が近付いてきていた。
ーーバサッ、バサッバサッーー
「なんの音じゃ?」
「多分、今2人の話しに出てきている物体ではないかと……」
傍観に徹していたクルードとクロガネが、密かに呟く。
「翼の生えた馬ーー地球では本の世界にしかいない想像上の生き物、天馬ーペガサス⁈」
咲耶様の元に風を纏いつかせながら降り立ったのは、金色の色をした一頭の天馬であった。
ーーカツッ、カツッカツッーー
咲耶達の前に降りた天馬は、突然の状況に驚いている咲耶達をゆっくりと見回した。若干一名は、平然とした様子だったが。
「なんだか騒がしと様子を見にきてみれば、久しぶりの客人ではないか。それも、お前の連れだとはな、カンザールよ」
頭の中に直接聞こえる声。念話で話しかけられて会話がピタリと止まる。
「お久しぶりです。守護者カーモス殿。騒がしくさせて申し訳ない。」
「いや、そんな事は気にしていない。それよりも、やっとお目に掛かる事が出来たな。異世界の聖女よ!」
嬉しそうにすり寄る天馬に、恐る恐る触れてみる咲耶。艶やかな馬体、初めてみる伝説の生き物に、指先が少しふるえる。
「綺麗な生き物ーこれが天馬?」
この世界には自分が知らない生き物が数多く存在するのだと、改めて思い知る咲耶だった。




