閑話 トリフェーンを探索しよう2
カンザールが咲耶達一行を案内した場所は、街の中心部、巨大樹を護る様に囲われた扉の向こう側だ。
巨大な扉は大樹と竜、地球では伝説上の生物であるペガサスや一角獣が描かれていた。
「ここは黄竜様が守護されている里になります。が、今は里の住人達は別の場所に設けられた避難所に移っております。」
扉の大きさに驚いている一行に、里の内状を説明するカンザール。扉の持ち手であるハンドル部分には、草花が彫り込みされていて、素人がみても大変手間暇がかかる物だと分かった。
「冒険者や住民の目がありますので、里の中にご案内いたします。」
カンザール1人であれば、そこまで不審の念を抱かれはしないのだが、咲耶達を連れて行きたい場所はこの扉の奥であったのだ。
カンザールは扉に片手をつき出すと、開門の手順に取り掛かる。
「扉の守護者よ、風の一族カンザールだ。偉大なる黄竜の御方の裾野に立ち入る許可を願いたい!」
カンザールの手から、白い光が放たれる。光は扉に描かれた竜に吸い込まれ、無機物の竜の瞳が白い光に灯る。
ーー風の加護を認める。ようこそ風の一族の来訪者よ、歓迎するーー
咲耶達一行の頭の中に直接に語りかける声。その直後、巨大な扉が音も無く内側に開いてゆく。
「ほう、これはまた珍しい認証式じゃな。だが、扉に彫り込まれた彫刻はドワーフの技じゃ。もっと近くで観察したいのぉ〜」
「あ……、まあ、それは時間がある時にでも良いですかな?」
カンザールの耳が何かの音を捉えたようだ。数名の足音が咲耶達の元に近づいている。
「んー、まあ、敵意は感じんから、住人か冒険者って所やな。ほら、カンザール以外が扉の先に入るんは見られとうないんやろ? 」
カザミの言葉に急かされ、クルードも渋々ながら扉を潜る。
クロガネとカザミは1番最後に入りながら、扉が閉まるまで気を緩めない。
音も無く扉が閉じられ、足音を発していた者が扉の前に姿を表す。
「ああっ、冒険者の者達でしたか。急いで入って正解でしたね」
扉の前を通り過ぎて行った事を確認し、改めて咲耶達を案内する事にした。
「この里は、大きく分かるれて3つの区画があり、世界樹と黄竜、その配下の者達が暮らす第一区画。第一区画を円で囲んだ外側が第二区画。そこは一般住人やドワーフなどの者たちが暮らしていた居住区画。そして今居る第二区画から外壁までの残りの部分が第三区画、今はその姿は消えてしまったが、草花や作物が豊かに実りをつける場所でした。」
カンザール達はゆっくりとした足取りで、周りを観察する。殺風景な草原、痩せ細った木々、遠くに見える家々は静かに佇むだけだ。
「ここが貴方の言っていた場所になるのでしょうか? それにしては、殺風景すぎるのですがーー」
「違いますぞ。我がお気に入りの場所はこの奥にあります。」
そう言って連れて行かれた場所は、動きを止めている風車小屋であった。




