閑話 負け犬の怒り
閑話
「チックショ……、魔族のオレ様をこんな目にあわせやがった奴ら……。次にあったら絶対に許さねぇーかんな!」
苛立ちで殴りつけた壁が深い穴を作る。壁を殴った拳は、人やエルフ族、一般の者とは違う黒き血液がとまらずにいる。
自室になんとか帰り着いたフードの男は、傷からくる苛立ちとただの獣人に遅れをとった事に怒りが収まらなかった。
そんな男の怒りを抑えようと、配下の使い魔達だったが、もう数名が闇に還された為か、部屋の隅で震えている。
「おっや〜、負け犬くん。自分が弱い奴らに負けたからって、配下にあたるのはいただけないなぁ。あーあー、こんなに部屋をぼろぼろにしちゃってさー、ばっかだね。」
何が面白いのか、腹を抱えて可笑しく笑う男。外見は人間の様に綺麗に着飾り、艶やかな化粧を施している。今の気分は赤のようで、全身赤い物でコーディネートされていた。
「なんでテメェがオレ様の部屋に居る? 誰も呼んでねぇし、今は誰とも話たくねぇぜ!」
「ふふん。わたしがアンタと遊ぶ為だけに来たと思ってんの? まあ、半分は当たりだけどさーー」
人を見下すような弄ばれる眼差しでニッコリと笑った直後。
「我らが麗しのお方がアンタを呼ばれているのさ。ほらほら、嫌がっても強制的に連行するからね〜」
「ちょい待てって、なんでオレ様が……」
先程までの激昂は鳴りを潜め、微かに指先が震える。
「さあ、楽しみな謁見に行こうよ?」
震えるフードを鷲掴みし、闇に消えていった……




