咲耶と驚愕のカンザール
「は? 今何と言われた?」
深夜も深まる頃、発掘組は咲耶の家へと帰還した。空腹感一杯の2人にカレーをよそっていたカンザールの手が驚きで止まる。
「いや。だ・か・ら、魔族に襲い掛かられたといいましたよカンザール。」
少し疲れた表情のクロガネが、億劫そうに再度答えてた。
食卓には、帰宅したクロガネ達と、クルード
・カンザールの大人組しか残っていなかった。ドゥーロは最近割り当てられた自室でハヤテと就寝。咲耶はというと今は入浴中だ。
その為、帰宅組の食事の準備をカンザールが請け負う形となったのだ。
「そないな驚かんでや、カンザールはん。疲れた身体に響きますわ……。でも、その驚きかたやと、魔族と遭遇して生きて戻れたのが凄い事みたいやね?」
カンザールが固まってしまった為、自分でカレーをよそい、自分の分とクロガネの分を用意する。
「ありがとうございます、カザミ。」
2人は「いただきます」と、言葉にした後、スプーンにすくったカレーを口をはこびながら、カンザールの様子を窺う。
余程クロガネ達からもたらされた言葉が、衝撃的だったようだ。
力無く椅子に座り込むカンザールに、隣で酒を呑んでいたクルードが、心配そうに覗き見る。
「どうしたんじゃ? 何がそこまで驚いておる?」
「あ……いや、貴方達には魔族の事を詳しくはお話していませんでしたな。」
いい機会だと思ったカンザールは、この周辺で最近見かけると話題の魔族の事を説明し始めてた。
魔族には、魔王を筆頭に魔貴族・魔族・一般魔族と階級が分かれていると言われている。
それは本人達から聞いた訳ではなく、人々の憶測や対峙した者らが聞いた話ではあるのだが、今回クロガネ達が戦った相手は、この街付近で稀に遭遇情報がある魔貴族だろうとカンザールは思った。
「ふ〜ん。そないな相手やったんやな。どおりで退散させるのに苦労したはずやわ。」
「まあ、あれだけ傷を負わせたのですから、暫くは大人しくしていてくれる事でしょう。」
2人は何でもなかった様な表情で、カレーを無心に食べる。自分ばかり驚くのがなんだか可笑しく思えてくるカンザールに、クルードが安心させる為に軽く背中を叩く。
「カンザールよ、お前さんがどれだけ心配しようとも、この2人ならば大丈夫じゃ。直ぐに負けてしまうような奴らならば、我々の神が寄越したりはせんぞ?」
「そう…ですね。」
クルードの言葉にうなずきながら、規格外の2人に興味を持つカンザールだった。




