咲耶とクロガネと戦いと
「スコターディ・カロース」
フードの裾から闇状の縄が2人に投げられる。2人が逃げる先を変える度に、闇の縄も執拗に後を追いかける。
俊敏な身のこなしで縄から逃がれつつ、武器になりそうな物を素早く探す。だがこの洞窟には、黒曜石を掘るために用意したツルハシと、掘り出された黒曜石の石しか見当たらない。だが、クロガネはその黒曜石を縄から逃がれながらも、小さなカケラばかりを集めてゆく。
そんなクロガネの行動に合点がいったカザミは、フードの男の視線からクロガネを逸らす為に、相手に挑発を仕掛ける。
「突然襲ってきたから、どんな強いお方かと期待したんに、ウチらを全然捕まえられへんなぁ〜。その闇でできた縄は飾りか何かですのん? 避けるのも飽きてきたわ。」
「は? それはオレ様に向かって言ってんのか? 獣人如きがー逃げ足ばかり見せびらかしやがって。獣人や人間達はオレ様達魔族の玩具でしかないんだよ。黙ってオレ様に跪き許しを乞いやがれ! ほら追加だぞ。
ーースコターディ・カロースーー」
フードの影から、背後から、数十本の闇の縄がカザミに喰らいつく。
カザミの尾が生き物の様に動きだし、闇の縄を迎撃する。主人であるカザミは涼しげな表情で相手をニコニコとみつめるばかりだ。
カザミの尾に打ち据えられ、縄が四方に散らばる。
「おっもしれーな。お前。久しぶりに骨のある奴と戦えそうだぜ。胡散臭い笑顔は捨てて掛かってこいよ!」
「嫌やわ〜。そこまで言われたら期待に答えんとアンタはんに失礼というもんやね、なぁ、クロガネはん?」
その刹那、カザミが横に飛び退くと、洞窟を埋め尽くす程の黒き欠片の刃が、フードの男目掛けて放たれたーー
「黒き烏の濡れ羽、黒曜の輝きを取り込み敵を穿て! さあ行きなさい。我が分身よ!」
クロガネの力ある言葉に、黒曜石て出来た黒き羽の刃がフードの男に牙を剥く。大小の黒い刃の羽は、男を取り囲み一斉に突き刺さる。そう、この黒曜石の欠片達は、クロガネがカザミを囮にして集めていた小石程の大きさの欠片だった。その欠片を核にし、魔力で羽を作り出すと、敵を襲わせたのだった。




