咲耶と採掘組2人
「くぅぅ……。肉体労働の後の酒は格別じゃな〜、カンザール?」
「その通りですなクルード。カレーにはこのビールという酒が合いますなぁ。程よく冷えたビールが、疲れた身体を労わってくれるようです。それに、このきめ細やかな泡、苦味がありながらも喉ごしの良さ。たまりませんなぁー」
カレーとビールを交互に味わっていた2人は、今日のお互いの作業内容を褒め称えていた。空き缶の数は増えていくばかりだ。
咲耶もカレーを口に運びながら、別行動をしていたクルード達の様子が気になり、何処まで作業が進んだのがを尋ねてみた。
「今日はじゃな、カンザールに頑張ってもらって、地面に巨大な穴を開ける所から始めたんじゃ!」
「そうでしたな。大地に穴を開けるまでは良かったんですが、その後が大変な作業でしたよ……。なあ、ドゥーロ?」
カンザールの問いかけに、パンを美味しそうに頬張っていたドゥーロが、肯定の意味で首を縦に振る。
そんなに大変だったのだろうか? 咲耶はクルードの報告会兼自慢話に耳を傾けた。
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その頃の発掘組はーー
黒曜石の発掘に精を出していた。
カン……カンッ……カン……
ツルハシが黒曜石の鉱脈に突き刺さる。その度に人の頭ほどの大きさの石が取れる。それが足元一杯になると、カザミの収納庫に押し込む。この作業を幾度も繰り返していた。
初めはお互い悪態をついていたが、疲労が蓄積してゆくと話す事も億劫になり、ツルハシの音だけが響き渡る。
「クロガネ……。そろそろ空腹に…なりまへんか?」
「そ…うで…すね。もう引き上げても良い頃かもしれません。」
流れ落ちる汗を手の甲で拭い取り、足元の黒曜石に目をやる。クルードの要望に応えても余る程の石が取れた。
「ちょっと掘り出しすぎてへんやろか?」
収納庫から2人分の水の入った瓶を取り出し、クロガネに手渡す。
用意周到なカザミに礼を述べてから、クロガネは水を喉に流し込む。疲れていた身体が喜んでいるのが分かる。一気に飲み干して、近くの大きめの石に腰を下ろす2人。
「かなりの量を採掘できましたね。まあ、多いにこしたことはないでしょう。それよりも、カザミーー」
クロガネの言葉に、無言てやり取りをするカザミ達。阿吽の呼吸でその場から離れる。
次の瞬間、2人が先程まで休んでいた場所にあった黒曜石が、木っ端微塵と姿を変える。
「チッ、久々の獲物が掛かったと聞いたのでオレ様直々にきてやったのに……、すばしっこいネズミ供だ。だが、その方が退屈凌ぎにはなりそうだ!」
クロガネ達が声の聞こえた方へ視線を投げる。そこに居たのは、目深にフードを被り怪しげな気配を漂わせる1人の人物であった。




