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異世界から引っ越してきた聖女です。  作者: 金木犀の夢華


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咲耶とくたくたの2人


「どれカンザール、お主の魔法とやらを見せてくれぬか?」

「はぁ、それは構いません。ですが、私の魔法は精霊魔法に依存している為、自然界が朽ち始めている現在では、子供のお遊び程度の威力しかありませんよ?」 


それでも良いからというクルードに、穴を掘る予定の場所に魔法を放つ。


「まずは風。シルフよ、鋭き刃をこの手に。ーコルポ・ディ・ヴェントー」


カンザールから放たれた風が、疾風の刃と形を変え地面を切り刻む。


「次は水でしたな。ウィンディーネよ、水の礫を大地に穿て。ーヴェシソーラー」


小さな水の粒が勢いよく大地に穴を開けてゆく。小さな窪み程度で、大きな穴と言う程ではなかった。


「さっきの話だと、かなりの威力があるように聞こえたが……、お主は水系が苦手のようじゃな?」


クルードの指摘に、苦笑いを見せるカンザール。本来エルフ族は、魔法に長けた一族で知られている。火・水・土・風の四大元素を基本とした魔法に加えて、魔族が得意とする闇魔法、生活環境に特化した名前もその名も生活魔法。後は、今では使い手が減ってしまった精霊魔法であった。


「風の里に長く居た為か、風の魔法は格段の威力なんですが、特にこの街では水系の魔法の効きが悪いのですよ」

「それももう暫くの辛抱じゃな。咲耶様が大地に埋めた石が水を創りだしとる。それと、合計200本の樹を植えると同時に、パワーストーンを埋めるのじゃから、現状より少しはマシになるじゃろう。


それだけの事をしても大丈夫とは答えないクルード。仕事には一切妥協を見せないドワーフ族の典型的な例である。


「まだまだお主の力の事を聞きたいのじゃが、時間が限られておる。この場は作業優先にして、今夜の酒の摘みで聞かせてもらうとするわ!」


そう自分に言い聞かせると、カンザールにたのんで先程の風の刃を使い、賽の目状に大地に切り込みをいれてゆく。そうして自分が、切り口の隙間に手を押し入れ、力技で引き剥がす。と言う作業を黙々とこなしてゆく。


力の弱いカンザールやドゥーロは、協力して剥がしたブロック状の塊を、庭の端へと積み上げる。夕闇が街を包み始める頃になると、巨大な穴と山積みになった土が出来上がるという、異様な風景であった。


「よし、今日の所はこれくらいにして、朝早くから続きをやって行くぞー!」

元気が有り余っているクルードに比べ、疲れて言葉を発することも億劫な師弟の2人。


だらしが無い奴らじゃ。と、豪快な笑い声を響かせるクルードであった。

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