咲耶と庭の利用法
「カンザール、クルクリの街中で誰も使っていない空き地はないか? それも、長期間使っても文句を言われぬような場所がいいんじゃが。」
「空き地であれば、酒場の裏に使ってない更地がありますよ。見晴らしのよい場所で良ければですがな。」
カンザールは突然の質問にも丁寧に答えていた。カンザールの自宅兼酒場の裏には、プール並みの広さがあり、壁など無く風通しがよい場所であった。
「ほう。なんとも良い広さじゃな。では咲耶様、これからカンザールの庭に行って家庭菜園を作る手伝いをしてくれんか?」
「それはいいけど、今準備をしている苗木は後回しでいいの?」
手伝うのは構わないが、せっかくドゥーロが増やしてくれた苗木をその前にしておいてよいのか気になってしまった。
「それならば、もう少しこの庭の土壌で大きくさせておいたほうが良いじゃろう。 なんなら今のうちに、樹の妖精の特技を練習させるのも良いじゃろう。」
「それは、樹々との意思疎通ですかな?」
カンザールの言葉にクルードはうなずく。
「あの小僧っ子は、地龍殿にも仲間達にも自分の能力の事を聞いておらんようじゃ。ならば、己の力と向き合う時間が必要じゃろう。」
自慢の髭を撫でて考えを話すクルードに、師弟関係になったカンザールは、クルードに礼を述べた。
「彼奴は良い人物に目を掛けられて幸せ者ですな。師として私からも感謝致します。」
なんとも微笑ましい空気に、話に加わらないようにしていたカザミが、痺れを切らして問い掛ける。
「なぁクルードはん。そろそろアンタはんの考えを話た方がいいんやないか? 咲耶はんらが手伝うにしても、下準備やらが必要になるんとちがいますか?」
「そうじゃった。色々な物を用意せねばならん。カザミ、お主の持ち物から色々都合をつけてもらいたい品物があるんじゃが。」
やっぱりか……と、内心で呟いたが、表情には微塵も出さないカザミ。
「で、何を作るつもりなんやクルードはん?」
「それなんじゃが、巨大なプランターをカンザールの庭に設置したいと思っとるんじゃ!」
クルードはテーブルの上に紙を広げ、自分の頭の中で描いた図面を描きながら、皆に説明し始めるのだった。




