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咲耶と神の提案
《神ガイアが出した妥協案》
1.通常ならば、この世界からは着ている最低限の衣類しかもってゆけないが、特例として咲耶の住むこの土地ごと移動する事。
神の力を使えば、簡単に出来るらしい。
2.咲耶に無理言って引っ越しをお願いするから、「人間以外の生き物」ならば連れて行っても大丈夫だと言う事。
色々な諸事情があるようだか、この場では詳しい理由はおしえられなかった。
3.人間は駄目だが、ペットは許可を得た。
当然だろう。咲耶にとって「ゆき」は、大事な家族なのだから。
あと、食料、生活必需品は、自分に任せてほしいと。自慢気にしていた。
「1つ質問しても良いでしょうか?」
「なにかしら?」
神ガイアの会話を止め、咲耶が問いかける。
「もし、その世界へ移動したら、私の存在はどう言う立ち位置になるのですか?」
人間は行く事が出来ないというが、咲耶はその『人間』なのだ。
「うん。やっぱり貴方は、現実から逃げ出さずに聴いてくれるのね。」
ガイアは、咲耶の眼を真っ直ぐに見つめながら、その問いに答えた。
「咲耶。貴方にはこれから、聖女になってほしいの!」