バトルフィールド
これは、シリーズ構成のサイドストーリーの一つとして書いています。
書くのは初心者なので暖かく見守っていただければ幸いです。行間とか、文構成とか、はたまた新しいページの作り方とか、投稿する前のレベルから使い方がわかっていません。
読み辛い中、お付き合い頂きありがとうございます。
先程、この前書きの編集のやり方を知ったばかりでして、こうして書かせてもらってる次第で。
さて、この話『バトルフィールド』は、いくつも作られる世界の一つで起こる、ちょっとした話を時系列もバラバラに書かせてもらおうと思います。
今回はせっかくですから、はじまりから。次の投稿では、終盤かもしれませんし、はたまた別の話が絡んでくるかもしれません。
世界に起こる事象をパズルのピースの様に例え、世界の数だけ多くの話の断片がある。という命題を元に構成していこうとはじめました。
今回、行間はほとんど書いていません。なので、ほぼ会話劇です。お好きに想像して頂ければ幸いです。
「先輩。・・・先輩?……あの、先輩っ!」
「ん、なんか文句あるのか?」
「ちょと、文句前提で聞き返されるのムカつくんですけど。…じゃなくて!どこ向かってんですか!さっきからずっと!白くて!狭くて!なっがーーーい通路を、永遠と、歩いてますけど!?」
「けど、なんだ?いいから歩け」
「その言葉は、立ち止まって、振り向いて、私と顔を合わせて話をしてから言ってください!もー、いつまで続くんですか?先輩の背中しか見えないんですよ、私」
「俺の背中にケチつけるな」
「付けますよ!つまんないですもん。どこの世界にこんな景色を楽しめる人間がいるんですか。右見ても左見ても白壁。そして前はシャツのシワが動くだけの先輩の背中」
「そんなに俺の背中を見てたのか。好きなのか?」
「話聞いてました?」
「そんなに見られているとは。流石の俺でも恥ずかしさに吐き気がしてくる、ぞ!?」
「いいですよ。いくらでも吐いてください。存分に」
「相原、お前いきなり蹴るヤツがあるか!・・・おい、なんの真似だ?いいから俺の背中から足を下ろせ。立て、な!?」
「吐くんですよね。お手伝いしますよ。その背中の色が青く変わるまで付き合いますよ」
「くっ!?おいおいおいおい、俺の背中は蹴りたい背中なの?そんなに好かれて!?悪い悪いすみませんでしたすまなかった申し訳ございませんこの通り謝りますだから!だから蹴りに加えてプロレス技決めようとするな!」
嫌な音の出所は言うまでもなく、断末魔と共に廊下に響き渡った。
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「相原、言っておくがこれは仕事だ。そしてお前の先輩であり上司だ。社会に規律があるように、仕事には機密ってのも付き物だ。俺がお前を同伴させ向かっているコレも機密に値する。言ってる意味、分かるか?」
「…はい、すみませんでした」
「まぁ、こんなの不満が出ないのも分からなくもない。すまないとも思う」
「いえ、先輩がすまないとかやめてください!私が悪いんです。こんなことで頭に血が上っちゃって。どんなことがあっても落ち着いている先輩を、私見習わないと」
「おれを見習って相原の身になるかは分からないが。分かってくれたなら、それで充分だ」
「はい、ありがとうございます、先輩。今度からは、冷静にーーー」
「一撃で仕留めようと思います!」
「へ?」
「やっぱり、最初の一撃が問題だったんですよね。私がもう少し冷静で入れたら急所をーーー」
「悪い、相原」
「どうしました、サンド…じゃない先輩?」
「前、歩いてもらっていいか?」
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1時間以上は歩いたんじゃないだろうか。
白い壁が続く廊下はようやく終わりを迎え、その突き当たりには高さ5メートルほどの大きな扉があった。横幅も広いものでセスナなど小型飛行機が通れるのではないかと思うほどである。
大人1人がやっと通れるくらいの細長っかった廊下には不釣り合いな、開けた場所に大きな扉。
わざわざ時間を掛けてこんなところに連れてくるなんて怪しいにも程がある。
そして、先輩が言っていた仕事とは何なのかさっぱり分からない。
これで大したことないしょうもない事だったら、先輩を締め上げてやろう。
「やっと着いたんですか、これ?着いたってことで良いんですよね?」
「相原。お願いだから入社した時のあの時のお前を思い出してくれ」
「どうしたんでか、いきなり。そんなことより、この扉なんです?ゴールですよね、やっと!」
「お前のせいで落ち着きが取り戻せないんだが」
「なんか言いました?」
「いやなにも。んんっ!この扉は、ゴールと言うよりもスタートに近いな」
「は?」
「相原さん、すいません。出来れば圧を掛けてくるのやめてくれませんかね」
「で?スタートって?」
「(おい、この後輩めちゃめちゃ怖いんですけど!)いや、あのですから。ここから、という意味です」
「ーーー。」
「(顎で話の先促されたんだが。怖えよ。いったい誰だよ、こいつ選出した人事部の田中!)えーと。この扉から俺たちの仕事が始まるんです」
「なに?扉の点検?」
「点検じゃねえ…ないよ、相原さん。ね?だからその目とタメ口やめようね、お願いだから」
「梶原。ん」
「え?なに、その手」
「はあ?分からないわけ?使えな」
「(うっわ殴りてえ!超殴りてえ!)……いえ、申し訳ありません。教えてくださいますか?」
「喉乾いた。よこせ。持ってんだろ?」
「あ、どうぞ」
「ちっ、冷えてねえじゃねえか。グビグビ・・・、プッハアーーーッ!」
(このヤロウ!!!殴りたい。存分に捌き倒した後、この扉の先に置き去りにしてやりたい!)
「生き返ったー。あれ?先輩どうしたんですか?顔怖いですよ?」
「ああ、いやなんでもないですよ。心配しないでください、相原さん」
「なんで敬語?!気持ち悪いですよ先輩、しっかりしてください。これでも飲んで・・・、あ」
「……。」
「今度、奢りますから!振り上げた拳を下ろしてくださいっ!せんぱーーい!」
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「なんだか、どっと疲れたんだが」
「わ、私だってつか……れまし……たよ」
「なに、相原さ。疲れたり、喉渇いたりすると人格変わるわけ?ふーん、さいですか」
「ごめんなさいって、せーんぱーい!何度も謝ってるじゃないですかあ!だからその可哀想な子を見る様な目をやめてください〜!」
「ああ、もううるさい。分かった分かった。はぁ。んじゃ時間も押してることだし、とっとと説明するぞ。いいか?」
「はい!お願いします!」
「よろしい。では、これより俺が話すことは一切の多言を禁止する。これを言うのは一度きりだ。聞き流すことも、聞き返すことも許さない。そして、全て話終えた後、この仕事を辞めることは許可できない。辞めたければ、この扉先で死んでもらうことになる」
「え?」
「相原。お前は部署移動で、俺直属の部下になる。そして、今までやっていた事業・業務とは一切異なる仕事に就いてもらうことになる」
「えっと、それは。さっきの死ぬ事って言うのは?」
「安心しろ。死にはしない。命に関わることはない。(……たぶん)」
「……。」
「引き返せるのは今だ。無理に、とは言わない。戻っていつもの業務に戻ってくれても構わない」
「いつもの、・・・業務」
「まだ俺は内容について一切を語っていない。だから、迷うのは今しかできない。こんなところにあるんだ。お前も薄々気づいていると思うが、普通じゃない」
「普通じゃ、ない?」
毎日、朝早く起きて時間を気にしながら支度して家を出て。嬉しくもない満員電車に乗って、楽しくもない仕事を片付けていく。
昼食では、同僚の愚痴を聞いたり会議に使う資料作成をし、自分の心なんてとっくに殺して、まるで死んでいるかの様に仕事をする日々。
「俺が言えるのはここまでだ。さあ、どうする?戻るか?」
生きがい。そんなもの、今の私にはない。
この先輩は、私とは違う部署で生き生き仕事をしている。彼の噂は、私の耳にも届く。
大学時代からずっと先輩はこうだ。
生き生きと、笑いながら、私の前を歩いていく。
そして今も、厳しい口調だけど、まるで遊びにでも誘う様にこちらに笑顔を向けてくる。
「…、いいえ!やります私!」
眩しい。羨ましいと、そう思うなら自分から踏み出さなければ心は死んだままだ。
私は生きたいのだ。
「よし、いい返事だ!じゃ、早速。相原、コレはお前専用のカードだ。まずは見ろ、この先をな」
そう言われて乱暴に手渡されたソレはカードと呼ぶにはあまりにも変な形をしていて、そしてアメジストの様に綺麗だった。
先輩は扉にカードを翳していた。そして扉を擦り抜ける様に進んで行ってしまった。
「ちょと、え?先輩、待ってくださーーーーー」
先に行ってしまう先輩を見て慌てて、扉にカードを翳す。そしてそのまま勢い任せて扉に身体を押し当てる様に進んだ。
そしてーーー。
「い?」
紫の川と知らない荒野がそこには広がっていた。
ーーーーーーーーー・・・・・・ーーーーーーーーー
「いいいいいいいいいいいいい!!!!!?」
「どうだ、驚いたか?」
「い、おど、驚く、とか!そういう、え?!ここどこですか!?…って、だれええええ!!?」
「梶原だ、梶原。さっきまで扉の向こうに一緒にいたろうが。お前の直属の上司にして先輩の梶原賢一だ」
「せせせ、先輩!?え、だって、なんかこう」
「落ち着け落ち着け」
「落ち着いていられませんよ!!だだだって!先輩がアニメ絵になってるんですよ!!!」
「お前もな」
「・・・・・・・・・。いやあああああああああ!!!」
「どうだ?落ち着いたか?」
「ぜんびゃいが、ひっく、アニメ絵ににゃっでるゔ」
「泣くな。ショックなのは分かったから」
「どごなんでず、ごごわ。わだじはおんどうにわだじなんですがあ?」
「お前、全部濁音で聞き取り辛いんだが。お前は扉を潜る前と何も変わっちゃいない。変わったのは見え方だ」
先輩は一息つくと「ここは一言で言うとだな」と続けーーー。
「アニメの世界だ!」
先輩が放った言葉に、私は先輩が壊れたのだと確認したのだった。
仁王立ちになって、イラっとする表情を向けてくる。
「先輩、私の頭が壊れてるんでしょうか、それともーーー」
「壊れてねぇよ!お前は健康そのもので、もちろん俺も壊れちゃいない。だからその可哀想な目を俺に向けるな」
「…はい」
「んじゃ話を続けるぞ。ここはアニメ世界って言っても部分的なものでしかないんだ」
「部分的?」
「おい、どうでも良さそうに質問するのやめような。お前もツッコミどころ満載の姿なんだからな。部分的ってのはその言葉通り。この荒野の先を行けば村がある。とか、そういうのはない。何も無いんだ」
「何も無い?」
「相原、ドラマは見るか?」
「はぁ、見ますけど。何ですかナンパですか?」
「お前あとで覚えてろよ」
「ごめんなさい(ぺこり)」
「ったく。話を進めるぞ。ドラマってのは、一つの場所で全部撮影してる訳じゃなくて、いろんなシーンをその数だけ撮影してる。例えば家だったら、リビング、キッチン、小部屋、玄関、物置、風呂とかな」
「お茶の間だけがあったりする撮影のセット現場って事ですよね」
「そうだ。アニメも同じだ。必要なシーンに応じて、それぞれの場所を用意しなきゃならない」
「でも、それって。えーっと、なんていうでしたっけ。その、背景みたいなものを書いてるんですよね、絵を描く人が」
「アニメーターな。設定を密にして、美術や原画担当が書き上げ構成される。要は場所を考えて、絵を描いてイメージを固めて、そこにキャラクターを書き込む」
「そうです、それです言いたかったのは。だから、ドラマとは違うんじゃないですか?家とか、山とか描くんですからセットとかいらないんじゃないですか?」
「さて、ここからはさっき俺が忠告した事だ。一度しか言わない。絵を描くってのは、表向きの話。本当は、今俺たちがいる場所ーーーここでアニメが作られてるんだ!そう、この世界でな!」
「・・・なんですって?」
「聞き返すな!こほんっ。ここはアニメを作る重要な世界、アニメーターの戦いの場所という意味で、通称バトルフィールドと呼ばれている。ちなみにここは、○ラゴン○ールのナメッ○星だ」
「なんですか、それ?」
「お前、それわざとだろ?さっきから欲しい反応が一切返ってこないんだけど。知らないはずないだろ、あの有名な○ラゴン○ールだぞ?」
「だって先輩、なんか気持ち悪いんですもん。アニメ絵ですし、いきなり語り出してバトルフィールドだあ、とか言われても。ねえ?それに私、アニメ観ないので。○ラゴン○ールって言うのは、名前は聞いたことあるかもですけど」
「なんか、もういいわ。とりあえずバトルフィールドはアニメを作る為の重要な世界ってこと。そんで、俺たちはそのアニメを作るお手伝いをするってこと。分かったか?」
「うわぁ、落差激しい。雑過ぎません?扉の前での機密の云々の下りはどこへ行ったんですか」
「仕方ないだろ。あれは機密の重さを分からせる為の口上だ。機密の重さは変わらないが、別に固くなることもないだろ。要は、ニュアンスが伝わればいいんだ」
「ニュアンスって。先輩、手伝うって言いましたけど、具体的に何するんですか?もしかして、ここで絵を描くんですか?」
「さっきも言った通り、絵を描くのは表向きの話だ」
「よかったあ!私、昔から絵が苦手で美術の成績とかボロボロだったんですよ」
「そっか、俺は下手でも良いから絵を描く方が良かったけどな」
「うーん…?描かないんでしたら、それ以外何するんですか?アニメって絵ですよね。全然判りません」
「この星な、実は2万回以上壊れたんだ」
「いきなり何言ってるんですか?」
「それをリテイクの度に直して、直して、直して。それを繰り返した」
「直す?」
「まあいい。今日は以上だ。帰るぞ」
「え、あの、先輩。結局何するんですか!?」
「一度しか言わないって言ったぞ」
「だから言ってないじゃないですかあ〜。待ってくださいよ〜」
「直すんだよ。世界を」
〜バトルフィールド〜
ここまで目を通してくださり、貴重なお時間を頂きありがとうございます。
読みにくい事、この上なかったかと存じますが、まずは感謝を。
こうして後書きを書く欄も見つけて、こうして書いてみていますが。なるほど、やはり手に取る本とは色々違って難しいですな。
こんなかしこまって書いてはいますが、普段はフランクに物書きをするので、次はもう少し砕けた感じで書かせてもらおうと思います。そして、投稿サイトのシステムを勉強しないとダメですね。
それでは、次の回で御一読頂ければ幸いです。
エルトナより






