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硝子とルージュ  作者: 藤子LPちゃん
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連続殺人犯の家にて

その部屋は陽射しがつよく差し込み漆塗りの水色と紺色が描く軌跡がぐねぐねと優柔不断に行き交ったテーブルの模様がテラテラと油を塗ったかのように光っていた。

 私はそのテーブルに瞳を落とし、腰に染み付いた汗を感じながら神崎の祖母に出してもらった座布団に座っていた。

 家の中には薫風自身が殺された女生徒の友達だと神埼の祖母に言うと簡単に入れてもらえた。私と夏子は彼女の付き添いだと言うとまた。

 出された冷たい中国茶に喉を潤す。ジャスミンの花の香りと烏龍茶のような香りがするすると風邪気味の天使が食べるいちごシロップのかき氷の溶けた雫のように喉を伝う。

「孫がしたことは本当に申し訳ありませんでした」七十過ぎ位の老女がそう言って頭を下げる。「あの子は両親を失ってからおかしくなってしまったのかもしれません」と一息で喋り「いいや、おかしくなってたんでしょう」そう言って老女は頭を上げた。

「それからは私と、私の夫と、二人で育ててきたのですが、私達には優しい子でした。真逆、まさか、人殺しになるとは思ってもいませんでした。夫は孫が人殺しだと分かってからショックで寝込んでしまっています。本当に申し訳ありません」そう言って老女はため息を吐き、ハンカチで目元に付いていた涙を拭った。

「稔さんのしたことは私は絶対に許せません。でも稔さんがあなた達に優しかったことは真実だったのではないのでしょうか?」薫風がふいそう言う。

「真実とは?」老女が震える声でそう言う。

「稔さんが人を殺したことに変わりはありませんが、人に優しくしたことにも変わりはありません」薫風がきっぱりとした口調で言う。

「それでねお婆ちゃん、私達はその神崎稔を追っている者なのだけど、幾つかヒントを得る為にここに来たの。彼のことを教えて」夏子がそう言って私に目線を送る。

「彼の日記なんてありますか?私は彼と同じ会社の者です。挨拶を一度したっきりですが」私はそう言った。

「日記ですね。稔の部屋を覗いて参ります。警察の方が持っていっていないならある筈です」

 そして老女は部屋を出ていき、戻ってきた時に一冊の分厚い日記帳があった。そして日記帳をテーブルの上に置き「これでございます」と言って私達に差し出した。

 私と薫風と夏子はテーブルの上に置かれたそれを囲み、恐る恐るページを開いた。

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