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硝子とルージュ  作者: 藤子LPちゃん
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冷たいデパート

 私達は外出し、コンビニより更に多くの生活用品を買うために駅前のデパートに向かった。

 デパートに入ると薫風が「順子さんの服を選びましょう。私が選びますか?それとも自分で選びますか?」と言う。デパートの内部はエアコンの冷たい風が小さなゴーゴーという音ともに体に吹き付けていた。

「そうね、あなたが選んだものと、私が選んだもの二つずつ。それくらいで十分かしらね」

「順子さんの今の服装は、私の服を貸して、着てもらったものですが、それだとちょっと地味過ぎます。順子さん、ファッションセンスあるんですか?」薫風が少々高飛車に疑問深く言う。

 私という人物に慣れてきたのか、素の一面が表れてきたのか、薫風は可憐だった。

 薫風が自分の肘をさすりながら「ちょっとデパートの中は冷たいですが、気持ち良いですね」と言う。

「私もそう思うわ。エアコンの冷気は割りと私は好きなの。喫茶店で飲む夏のアイスココアとエアコンの冷気。自然と素肌に落ち着く透明な風よ」それから私は腕を組んで「それで女性服売り場は何階かしら?」と言った。

「3Fのようです、向かいましょう」薫風がそう言って、先を進み始める。

 私達はざる蕎麦をすすっているかのような黒色のエスカレーターに乗り側面の鏡面に目をやる。やはり私は少し地味に映った。

 対して薫風は水色の半袖のパーカーに中に灰色と水玉の白のTシャツ。パンツは濃紺のジーンズだった。どことなくボーイッシュだった。今は化粧をしてあるその顔はエスカレーターの上の階の方向へと向いている。


 エスカレーターが3Fに着くと私達は一旦立ち止まり辺りを見ました。マネキンがオレンジ色のワンピースを着てポーズを決めて固まっていた。関節部は球体ではなく固定されてあるようだ。

 私達はそこで服を選び、それを前の世界の紙幣で買うと(前の世界の紙幣は安全にこの世界でも使えた)食料品売場へ行き、美味しそうに思える食品を買う。

 ややお金が減ったが、この分だと一週間位ならここで過ごせるだろう。

 そして私達は冷たいデパートから出た。

 外に出ると太陽がちょうど顔に当たり私は空を見上げるのに目を細めなくてはならなかった。

「眩しいですね」薫風がそう言う。

「ええ」

「帰りは歩きで帰りますか?」

「行きはバスだったものね、本当は行きは歩きで、帰りはバスでの方が疲れなくて良いかもしれないけれど」

「確かにそうですね」

 そう言いながら私達は帰り道を歩いていった。

 

 途中住宅街の片隅に石畳の長い階段がある場所に通りかかった。木々に隠れて日陰になっており、ひんやりとそこだけ気持ちよかった。

「この階段の先はどこなの?」私は薫風に尋ねた。

「神社ですよ。夏になるとここでお祭りがあって、私も行くんです。だけど祭りはまだですね」薫風がそう言ってニッコリと微笑む。「今度、お祭り一緒に行きませんか?」

「一緒に行きましょうね」私はそう言った。「ちょっと神社の様子を見ていかない?」

「いいですよ」そう言いながら私達は階段を上っていく。


 そこで時間はまたもとに戻る。

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