世界中に
コンビニに着き中に入ると冷房が強く利いていた。
薫風が鼻をひくつかせ、クシュンとくしゃみをした。
「寒い?」
「はい、ちょっと」
買い物かごを片手にとり、まるでこの世の終わりに備えてかのように食料を詰め込んでいく。
ドリップ式のコーヒー、冷たい牛乳、カツサンドにカレーパン、等など。
私はこの世界でも小説を書こうと考え、筆記具も買い物かごに入れる。
「そういえば、この世界の新聞や雑誌はどうなってるんでしょう?」薫風が興味深げに言う。
「そうね、気になるならそれも買いましょうか」私はそう言うと新聞が挟んであるのを一紙取り、雑誌コーナーであまりキツくない地味な表紙の週刊誌を買い物かごに入れた。
会計をしていると薫風が「私からあげが食べたいです」と言い、レジの店員にからあげを頼むとレジに陳列されてる温かいからあげを紙袋に入れてもらう。
お金を払い外に出ると薫風が私の持っている袋を奪い、中からからあげを取り出し口に咥えた。
「美味しいです」はふはふと息をしながら食べている。
私も一つもらうとそれは見た目以上に熱かった。
「熱い・・・」私は目元が涙で滲むのが分かった。
薫風がフフッっと笑う、私は少し恥ずかしかった。
私はからあげを飲み込んでしまうと「あいつどうしたかしら」と言った。
「あいつって?」薫風が言う。
「同僚の魔法使いよ。性別は男で本当はそいつが異界に来るはずだったんだけど。今頃、もしかしたらこの世界にいるかもしれないわね」
「順子さん以外にも魔法使いの方はいるんですね」薫風が次のからあげを頬張り飲み込んだ後にそう言う。
「そうね、私以外にも、世界中に」
「それじゃあ、ひょっとしたらこの世界にもいるのかもしれないですよね?」
「ええ、ひょっとしたら」
「その人と協力しあうことは出来ないですか?」
「良い案ね、この世界で魔法使いが見つかれば、だけど」
私達はそんなことを話し合いながら薫風の家へ帰っていった。




