過去の自分2
その出来事が起きた後から”私“は極端に他人の評価を気にするようになった。誰かに悪口を言われないように、例え、都合がいい子だと、便利な子だと言われようと嫌われなければそれでよかった。自分で言うのも何だが、多分、純粋だったのだろうと思う。
ただ、そういう生活を長年送っていると少しづつ自分が疲れていくのが分かった。元々、怠惰な性格を持っていた“私”だ。疲れて行くにつれ、何もかもどうでもよくなっていくことにさして時間はかからなかった。
そして中学2年のある日、“私”は突然ふっと、何もかもどうでもよくなった。本当に突然だった。今まで嫌われないようにと必死に取り繕ってきた外見も、嘲笑を受けないようにと必死に頑張ってきた勉強も何もかもどうでもよくなった。
それからの“私”は部活をやめて、学校が終われば家にすぐさま帰り、引きこもり、ゲームばかりするようになった。
ただ、笑えることに嫌われるということに私は予想以上に恐れていたようだった。女子が引きこもってゲームばかりしていると知られると色々とクラスメイトの視線が痛くなるので”私”は僕と一人称を変え、服装を今までの可愛らしい服からメンズのモノトーンの服に変え、髪を短く切った。女子よりも男子の方がゲームばかりしていても違和感がないだろうと思ったからだ。何故かその後、顔を赤らめた女子の熱のこもった視線を受けるようになった気がしたが、気のせいだと思いたい。
余談だが、僕は異性に興味があまり無かった。
ぶっちゃけると某有名アイドルのグループ名は知っていてもその中のメンバーの名前は誰一人として知らない。そんな僕だから、もちろん乙女ゲームなんてした事が無かった。専らやるゲームといえばRPGばかりだった。
ーーーだから、僕は死んで異世界転生を果たした時、その世界が乙女ゲームの世界だなんて気付かなかったのだ。