第二十二話
私達は満くんとある『約束』をして別れた。帰り際に照れながら小さく手を振ると走って行ってしまったがその背中は少し大きく見えた。
明ちゃんの家まで戻ると凛さんが電柱にもたれかかって待っていた。随分と待っていたらしく少し心配していたようだ。
「どこ行ってたんだい、お二人さんっ!」
私と千尋ちゃんは凛さんの両隣で肩を組む形で捕まった。
「ちょっといい男に会いまして。」
「何それ。すげー気になる。」
「本当にいい子でしたよ。」
「雨音も?ていうか…子?」
「まぁ後でゆっくり話しますよ。お二人は今日泊まる所はおありで?」
「…私一人なら車でもいいんだけど、雨音もいるからなぁ。流石にあそこでは寝させられないわ。」
「じゃあウチに来てくださいよ。大丈夫。あの婆ちゃんなら泊めてくれますから。」
千尋ちゃんは親指を立てるとニシシと笑いだした。少しの不安を残したまま私達は田中商店に向かった。
田中商店のお婆さんは本当にすぐにオッケーしてくれた。流石行き倒れの千尋ちゃんを引き取っているだけある。懐が深い…奥の使われていない客間に通されると「ご飯になったら呼ぶからね」と言ってお婆さんはゆっくりと戻って行った。
荷物を置くと一日の疲れがどっとやってきた気がした。ずっとリュックを背負っていたからなのか肩がパンパンだ。凛さんは公園近くに置いた車を取りに行ってしまったが、しばらくすると千尋ちゃんが布団を持って入って来た。
「これ二人の分。後で私のも持って来ようかな。今日はここで寝るー。」
「ちょっと三人は狭いんじゃない?」
「いいのいいの。川の字に寝れば何とかなるって。」
「それもそうだね。」
千尋ちゃんは駆け足で自分の部屋(?)に戻って行った。しばらくして凛さんと私の分の布団を敷いているとドタドタと足音が近づいて来て目の前に布団がダイブしてきた。
「着地せいこー!いやぁ布団ならこれはしないとね。」
「…何やってんの…」
「あ、凛さんお帰りなさい。どうです?いいでしょこれ。」
千尋ちゃんは腹ばいのまま左右の手をクルクルと回している。波乗りのつもりなのかな?
「…馬鹿がもがいてるように見える。」
「ハハハハハハ!言えてる。」




