表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの日君が見せたかった景色は  作者: 雨音
第三章 猫と少女
12/28

第十一話

 「凛さん、今回はどんなお仕事で?」


 「ん?それは来てからのお楽しみ。でも多分可愛いと思うよ。」


 「可愛い?」


 不思議そうにする私の横でニヤニヤする彼女を見ながら、私は更に謎を深めるのだった。私達は現在依頼者の方と近所の公園で待ち合わせをしている最中だ。

 しばらくすると公園の入り口から誰かが走って

来た。


 「あれですか?」


 「そ。」


 「というか思ったより小さいような…」


 「『可愛い』でしょ?」


 あぁなるほど。やっと言ってた意味が分かった。肩で息をしてやって来た『この子』が今回の依頼者なのだ。歳は六、七歳ほどだろうか。髪は肩ほどまでの長さで、全部おろしている。前髪が少し長いせいか目が少し隠れており物静かな印象を受けた。


 「君が戸根明とねあかりちゃん?」


 「はぁ…はぁ…う、うん。お姉ちゃん達がなんでも屋さん?」


 「そうだよ。私が凛でこっちが雨音。よろしくね。」


 「よろしくね。明ちゃん。」


 私は軽く会釈をして少し笑って見せると、明ちゃんはコクリと頷いた。そして同時に


 「は、ハックション!」


 「おう!びっくりしたぁ。大丈夫?」


 「グスッ…あぁえぇ大丈夫です。」


 これはひょっとするとだけど『アレ』かもな…


 「そう?…で、明ちゃんのお願いは『ミイを探して欲しい』だったよね。その『ミイ』ていうのは何?」


 明ちゃんはスカートのポケットに手を入れると、折り畳まれた一枚の紙を取り出した。

 

 「これは…猫?」


 それは一匹の猫の絵だった。首には赤いバンダナが巻かれ、色は全身真っ黒だ。私はその絵を見ながら、少し青い顔になっていった。 


 「もしかして雨音、猫…苦手?」


 「…はい。」


 「ありゃ、またなんで?」


 「…ちょっとアレルギーがありまして、猫が近くにいるだけでくしゃみが止まらなくて。」


 「ありゃー。それはきついね。なんだったら今回は私一人でもいいよ?」


 「いえ、大丈夫です。なんとかなりますから。」


 明ちゃんの手前そんな情けないことは言ってられない。それにお手伝い一回目から放棄しているようでは凛さんにだって申し訳ない。


 「そう?で明ちゃん、そのミイちゃんがいなくなったのはいつ?」


 「…一週間前。」


 「ハックション!…すいません…」

 

 私は探す前にティッシュを買いに行きたいと凛さんに伝えた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ