表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/28

フォースタスとアスターティ

 未来の植民惑星に住む、二代目フォースタス・チャオとアスターティ・フォーチュンの話です。

 かつての地球人の子孫たちが住む惑星の一つ、アヴァロン。この星を統治するアヴァロン連邦の首都、アヴァロンシティ。この街に一組の恋人たちが住んでいた。

挿絵(By みてみん)

 男の名はフォースタス・チャオ(Faustus Chao)、30歳。父は中国系とアイルランド系の血を引き、母は日本人。職業は作家。

挿絵(By みてみん)

 女の名はアスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune)、20歳。プラチナブロンドの髪に空色の目の白人美女で、現役大学生ミュージシャン。

 同棲中で婚約中のこの二人は一見、ごく普通の才子佳人カップルに見えるが、実は大きな秘密があった。


 かつて、地球では人口爆発が問題になっていた。しかし、日本ではその世界的問題を無視して「少子化問題」が取り沙汰されていた。

 そして、ある男性政治家のセクハラ失言に対して、誰かが皮肉を言った。

「ならば、生身の人間に近いセクサロイドでも作った方がいいんでないかい?」

 そして、なし崩しにクローン人間が合法化され、新たな生命、人造人間が生み出されるようになった。

 バール(Baal)、女性形はバーラット(Baalat)。旧約聖書に登場する異教の神々に由来する名称の彼らは、優れた知能と身体能力を持っており、ある者は兵士に、ある者は政府要人などのボディガードの任務に就くが、中には売春婦(並びに男娼)にされてしまう者もいる。

 彼らは普通の人間に比べて容姿や体格に恵まれた者が多く、また、老化も遅い。基本的に生殖能力を持たないとされるが、一部のバールたちはそれを持っていると言われる。


 フォースタスとアスターティの関係は、一つの実験だった。

 人間とバールたちとの融合。徐々に弱まりつつある人間の「種」としての活力を蘇らせるためにも、新たな「血」を入れよう。

 しかし、フォースタスとアスターティの絆はそんな思惑など関係ない。フォースタスの母ミサトは研究機関〈アガルタ〉の一員で、アスターティが人工子宮の中にいた頃から彼女を見守っていたが、ミサトは二人にこう忠告していた。

「とりあえず、アスターティが大学を卒業するまではちゃんと避妊してね。この時代になっても、できちゃった結婚に対して批判的な人はいるから」

 二人はその約束を守っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ