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怪奇少女のカイキ語り  作者: 嵐山椛
2/2

出会い

あ、どうも嵐山椛です。続きですね、この調子で時間は掛かりますが、ゆっくり投稿していくと思います。でももうちょっとペースアップするかも・・・

 それでは、物語をお楽しみください。

    白銀教授の話が終わり、後は何人かの教授がまた少し話をした。

   それが終わったので、ひとまず入学式は終了。


    今日はこの後一応解散なのだが、先輩達が昼食をバイキング形式で

   用意していて、さらにはパフォーマンスまでやってくれるとの事。


    基本皆、しばらくは大学に残る。私もどうしようか、迷った末に

   お昼を食べて、少しパフォーマンスを見たら帰る事にした。





    体育館から出て、建物から少し離れた場所にあるグラウンドに

   向かうと、もうすでに長蛇の列がそこには出来上がっている。  


     「あ、これは混むかも・・・」



    知り合いか何か居れば、こういう列に並んで待つのも平気だが、

   生憎私にはそんな知り合いはいない。



    少しづつ進む列に並びながら、あたりの座れそうな場所を探しても、

   見つけるそばから埋まっていく。


    やがて、列が奥まで進み、私も食べたい物を少しずつよそっていく。

   そのまま列から出て来て、周りを見渡すと・・・・、もはや、場所は

   ほとんど埋まっていた。



     ああ・・・、どこに座ろう・・・?


    トレイを持ちながら少し惨めな気持ちで歩いていると、なんとか

   座れそうなスペースを発見。見れば、グラウンドの隅の木陰にある

   小さなスペースだ。まだ少し暖かいだけの気温だから、木陰などの

   日蔭は肌寒いのだ。



    そんな人気の無いスペース目がけて、歩みを速めていると、



     「わぁ!」

     「きゃ!」


    ・・・また、誰かと衝突しそうになった。



     「すみません、不注意で・・・って・・・・」

     「ごめん、よそ見しちゃって・・って・・・」




     「「あああああああああ!!!」」



     二人そろって大声をあげてしまった。


    理由はあまりにも、ありがちな展開。なんと衝突しそうになった

   相手はなんと、今朝ぶつかりそうになった相手だった!!






    「いやぁ、さっきはごめんね」

    「いえ、私が不注意でした」


    黒髪の少女はひとまず、謝ってきた。私も謝り返すしか無い。

   それと言うのも先ほどの大声によって周りに滅茶苦茶注目を浴び、

   二人でペコペコと頭を下げたのだった。



    「それにしても・・・まさか二回もぶつかるなんて・・・」

    「二回じゃないです。二回目は寸での所でした」



    何だか楽しそうにしゃべる相手と、愛想なく答える私。

   私は、落ち着いて一人でいたいのだが、相手はそれを察してくれない。

   財布をいじりながら、向こうは続ける。


    「あっ、敬語はいいよ、学年同じだし」

    「・・・私はこのままでいいです」


   そこまで馴れなれしくする気はないし、そうして欲しいとも思わない。


    「え、そうなの?堅いなぁ~」

  

    貴方は柔らかすぎる!!


    「・・・ところで、さっきから気になってたんですけど・・・、

     貴方って、もしかして・・・男?」

    「へっ、あ、うん。・・・よく間違われる。でも一応男だけど」


    少女少年はちょっとばかし、うんざりしたように答えた。


    「・・・見かけの割に声がハスキーだね、とも言われる」


     今度はさらにしょぼくれて言った。ついさっきあった時も

     そうだったけど、ネクタイをしてないで、第二ボタンまで

     開けてるお蔭で、新入女学生の一人にも見える。


    「へぇ~、そうなんですか」


    あんまり、興味が無い。お昼の味はこの味気無い会話のお蔭で

    さっぱりだった。そろそろ行こうかと思っていると、


    「おーい夏過!」


     声のかかった方を見ると、穏やかそうな背の高い男がこちらを

    見ている。

    穏やかな顔つきで、髪もきれいにストレートな黒髪だ。

    若干、この少女少年に似ている。

    やや離れた所から声をかけている分、私には気づかないようだ。

            

    「あ、ヨースケ・・・。」


    どうやら知り合いのようだ。もしかして兄弟かな。

    まあ、どうでもいいけど。


    「ごめん、行かなきゃ!」


    そう私に向かって短く言うと、私が「うん」と答えきる前に

    さっさと腰を上げて行ってしまった。


    なんか嵐が過ぎ去ったように、急に静かになった気がする。

    そう言えば、さっきの人、ナツカってよばれてたよね・・・。

    案外、男は嘘、本当は女だったりして・・・。


    向こうの方で夏過と呼ばれた人物は、ヨースケと呼ばれていた

    人と話ながら歩いていく。



     立ち上がろうとした時、ふと目の端に何かが落ちているのに

    気が付いた。拾ってよく見てみればそれは財布だった。



     「さっき、いじってた時か・・・」


     このまま落し物として、事務局に届けようとも考えたが、

    もう少し先に本人がいるので、本人に直接渡すべきだ。



     「・・・しょうがないな」


     ここで、渡せないと後味が悪い。


     人混みの中を先に見える姿を追いながら、すり抜けていく。

     二人は楽しそうに話していた。ここから見ると、兄弟か、

    兄妹に見える。地味に身長差がある事もあるし、後ろ姿が

    そっくりだ。



     「・・・!、すみません」

 

     人にぶつかってしまった。立ち止まっていたのか、その人

    もこっちをびっくりして見ている。でも今はその人が何か言う

    よりも先に歩いて行ってしまった。


     悪いけど、今立ち止まるわけにはいかない。


     前の二人に再び目を向けた時、愕然とした。二人がいない!


     見失ったかな?辺りを見渡しても、人、ヒト、ひと・・・。

     その中に二人の姿は見えない。


     そのまま二人の姿を近くで探したが、見当たらなかった。

      


      「はぁ、・・・見つからない」


     近くのベンチに腰を下ろして、溜息をついた。

     そもそもなんでこんなに、真剣になっているんだろ?

     さっさと、事務局に財布を届ければいい話しなのに・・・。


     何だか面倒になってきて、諦めようかと思っていると、

    目の前を知っている顔が横切った。

     なんと、さっきのナツカを迎えに来た、えっと、ヨースケさん?

   

     ヨースケさんはしきりに辺りを見渡している。

    これは、チャンスだ。こっちから探す手間が省けたとばかりに、

    声を掛けた。


  

    「あの、どうかしたんですか?」

    「ん?・・あ、いや、ちょつと連れがいなくなったもので・・・」 

   

    そう言われてみれば、ナツカの姿が見えない。

   

    「連れって、ナツカさんの事ですか?」

    「ん?・・・君、ナツカの知り合い?」

    「えっと、そんなような者です・・・」

    「そっか、実はね、今日は待ち合わせをしてたんだけど、

     うまく会えなくて・・・携帯にも連絡入れてみたんだけど、

     繋がらなくてさ・・・」


    いやあ~、困ったな、と笑いながら話すヨースケさん、でも

    私は笑えなかった。


    「あの、・・・今言いましたよね、今日一日会ってないって」

    「うん、待ち合わせしたんだけど、この人混みの中だから

     うまく会えなかったのかも、式に出てるのは見たんだけどね

     まぁ、後で連絡すれば大丈夫だと思うけど」


    デハ、サッキ会ッテタノハ、イッタイ誰ダッタンダ?


    「君?どうかしたの?」       

    「いえ、・・・それより、私も探させてください」

    「え?それは助かるけど、悪いって」

    「私は、大丈夫です。・・・私も少し用があるので」

    「そうか・・・、じゃあ、校舎裏の方を頼めるかな?オレは

     グラウンドの方を探してみるよ、一時間たったら、

       またここで落ち合おう」

 

    私は黙って頷くと、急いで校舎裏の方へと足を進めた。

 








    午後の日差しの中、校舎裏の方には誰もいない。

    こっちじゃ、なかったのかな?表の騒ぎが嘘のように静かだ。


    「どうしよう・・・」


    心臓がどくどくと波打っている。額から汗が流れる。

    辺りを見渡しても、特に人影があるわけでもない。


    そびえ立つ校舎と敷地の柵に挟まれているため、その辺の物影

    なんかに潜める訳でもない。特になにも無いと引き返そうと、

    きびすを返そうとした時、奥の方に何か見えた。


    そう言えば、確かこの奥は行き止まりに見えて、実は校舎の影に

    バイオ系のビニールハウス群があるのを思い出した。

    前にオープンキャンパスに来た時に迷い込んだ記憶がある。



    「行ってみよう・・・」

  

    ・・・少し怖くなったが、思い切って行ってみよう。



    「・・・ホントにこっち?」

    「うん、確かこの辺で見たんだよ」


   話し声が聞こえてきたのは、ビニールハウス間のちょっとしたスペース

   

    「あ・・・いた」


   ビニールハウスの陰からこっそり覗くと、ナツカとヨースケの姿が

   よく見える。


    「財布落としたのに・・・なんで、こんな所に?」

  

    ナツカも流石に疑問が湧いているようだ。


    「いや、さっきさ・・・この辺通った時に何かそれっぽい物を  

     見たんだよ。確かもうちょっと奥の方に・・・」


    ヨースケがビニールハウス群のさらに奥を指さす。


    「え?もっと奥?」


    うん、とヨースケが笑顔で頷く。ナツカもそれ以上は追及することを

   やめ、奥に歩き出した。ヨースケも後に続く。

  

    「奥って、行き止まりだけど・・・?」

    「うん、確かそのあたりだよ・・・」  

    

    ヨースケはナツカの後ろに立ってじーっと、その背中を見ている。

    その足元には影が無かった。


    心臓は相変わらず痛いほど、脈打っている。でもこれ以上何も

    しないわけにはいか無い


    「ねぇ・・・あの!」


    喉から大声を絞り出す。途端に二人は振り返る。

    


    「あれ、・・・君はさっきの?」

    「誰?知り合い?」


    ヨースケが首を傾げている。という事はやっぱり、この人は

   ホンモノじゃ無い!

     

    「あ、えっとナツカさん、その人から離れて」

    「は・・・、何で?」


    当たり前だ。いきなりこんな事言われても納得できるわけ無い。

    でも確信が持てる。ヨースケは人間じゃあ無い。

    さっきは気付かなかったが、今はその漂う気配が明らかに変だ。


    「えっと、・・・その・・・その人、影が無いのよ・・」


    自分では解っていても、他人にはそれが伝わらない。だから、

    一番解りそうな事を口にするしか無い。お願い気付いた!

 

    「あんた、さっきから何言ってんだよ、俺が人間じゃないだって、

     あんた、頭大丈夫か?」

    「う・・・」


    その通りだ。普通の人なら頭がおかしいと言うのが妥当だ。

    本当にこう言われてしまったら、ぐうの音も出ない。



     「お前はヨースケじゃない」


    今まで黙っていたナツカが口を開いた。


     「さっきから変だと思ってたけど、今確信が持てた」

     「お前、何言って・・・」


     偽ヨースケの声色に初めて不安が混じった。

     

     「あんた、ヨースケじゃないよね」

    

     少し笑みを浮かべると、ナツカはもう一言付け加えた。


     「あんた・・・誰?」


      次の瞬間、ヨースケの体が灰色の影のように変色すると、

     ナツカに襲い掛かった。まるで人が飛び掛かるように、

     ナツカ目掛けて一直線に。


      だが、さらに次の瞬間、ナツカが右手を前に突き出すように

     かざすと、灰色の影が弾け飛んだ。



      私があっけに取られている中、粉々にされた影が宙を舞いつつ

     消滅していった。


     「あ、貴方一体・・・?」

     

     私はやっとの思いで声を絞り出す。


     「う~んとね、僕さ、今みたいなちょっとした特技なんかが

      あるんだよね~」


     私が唖然と驚いていることに対して、ナツカは嬉々とした顔

     で、言ったのだった。

 次回はいよいよ、主人公リーナの能力を明かす予定です。お楽しみに!

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