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プレリュードモンスターズ  作者: 級長
学園闘争編
8/61

-開幕、初陣の日-

 2012年10月7日付けの新聞記事

 『世界崩壊の序章か? 実体化するモンスター!』

 先日、人気ソーシャルゲーム『プレリュードモンスターズ』に登場するモンスターが次々実体化する事件が発生した。サービス元のユートピア社はよりゲームを楽しんで貰うためのシステムと弁明する。これはマヤの予言、世界崩壊の序章ではないかと噂される。

 2012年10月28日 名古屋駅 『名古屋駅争奪戦』


 名古屋駅こそ特異な駅であろう。複数の鉄道会社の線路が集まり、駅以上の施設を持つのだから。ドラゴン飛び交う高層ビル群というのもまたオツなもので、下では人々のいとおかしといった悲鳴が飛び交う。

 行き来の人と買い物客でごった返すのだから堪らない。分けろと叫びたい人もいるだろう。

 「分けろ」

 呟いた人間ならいた。ファー付きフードの黒いロングコートを着た青年だ。フードを目深に被り、素顔は見せない。彼、朝凪一機は本日お日がらも良く、大学も決まっていたので名古屋の町に繰り出した。本音を言うと先日の事件で学校が休校になったから暇なのだ。

 目的はある人物とのデート。内心浮かれていたが、懸念事項があり過ぎて困っていたのだ。金時計で待ち合わせとのことだが、懸念事項をそこで確認する始末。

 「えー、と。特徴は制服とそれぞれ赤、青のバンダナね。意味がわからんね」

 一つ目の懸念事項。最近、妙な集団がいるということだ。ネットの情報によれば、名古屋駅の覇権を巡って2つのグループが対立しているとのこと。

 そうこうしていると二つ目の懸念事項がカランコロンと音を立ててやって来た。朝凪は頭を抱える。

 「待った?」

 「……」

 抑揚の無い声でそんなことを宣うのは長い黒髪をなびかせた少女。紫の瞳で朝凪を見据え、フリルやリボンの付いたゴシック調のミニスカ和服を着ている。カランコロンしてたのは掃いている、黒いぽっくりというなんか高い下駄みたいなものだ。和服は背中と肩を大きく露出していたが、それは背中に黒い翼があるからだ。

 「クロノが出て来てくれたのは凄くうれしい、うれしいけどなんだろう……このいたたまれない感じ」

 「?」

 朝凪の言葉にクロノと呼ばれた少女は首を傾げた。非常に可愛らしい仕草だが、朝凪はそれに萌える心の余裕を残していなかった。


 なぜなら、目の前で今まさに惨劇が繰り広げられていたからだ。


 「召喚! レッドドラゴン!」

 「させるかブルードラゴン! 【ブリザード】だ!」

 『ブリザード、リベレート!』

 「ぐぎゃばらべっ!」

 制服を着た高校生の集団がモンスターを召喚して殺し合っていた。青い竜の吐息を受けた高校生達は凍りながら飛ばされ、地面に落ちると粉々に砕けた。スマホから放たれるノリノリな音声とは正反対な凄惨さだ。

 「バーニングドラゴン! 【フレイムブリーズ】!」

 『フレイムブリーズ、リベレート!』

 「あばああああああああ!」

 燃えるドラゴンの炎で数人の高校生が焼かれた。嫌な臭いが金時計周辺に漂い、朝凪はとりあえず吐いた。

 赤いバンダナを付けたグループと青いバンダナを付けたグループが戦っている。

 「肉がしばらく食えそうにありません。大好物のアメリカンドッグが!」

 「そう。私は知らない」

 朝凪は涙目でクロノに訴える。待ち合わせごっこをしていた朝凪の前で、いきなり殺し合いが始まったのだ。

 何故こうなったのか。それは数週間前、プレリュードモンスターズというソーシャルゲームがモンスター実体化システムを導入したからだ。ゲームのモンスターが実体化する夢の様なシステムに朝凪も『運営GJ』と思った。

 「しかし! それは運営の罠だった! 奴らはリアルの命が危険に晒されれば自ずと課金すると考えてシステムを導入したのだ!」

 「なんかいたぞ!」

 「見付かった!」

 いきなり叫ぶものだから早速、ブルードラゴンを召喚した高校生に見付かった。自業自得だ。

 「ブリザード! チッ、しばらく使えなかった!」

 朝凪に向けたブリザードは不発。このゲームではスキルを一回使うとしばらく使えないのだ。

 「なら召喚! アイスドラゴン、スノードラゴン!」

 「【絶閃】!」

 『奥義解放! 絶閃!』

 高校生が新たにモンスターを召喚した。掲げるスマホが青く輝き、魔法陣が二つ現れる。そこからドラゴンが出て来た。だが、朝凪は咄嗟に何かを叫んでいた。クロノが長い刀を手にドラゴンへ走る。

 「せっかく帰れたところを悪いが、斬る!」

 クロノもまたモンスター。彼女のスキル、絶閃が発動した。ドラゴンと高校生の背後まで走り抜け、刀を納める。その瞬間、ドラゴン達が何度も切り裂かれる。

 ブルードラゴンは先程の戦闘でダメージを受けていたのか、倒れる。倒れたドラゴンは青い光となり、砕けた。

 「課金して手に入れたドラゴンが! なら召喚、『アブソルートコールドドラゴン』!」

 もう一度、高校生はスマホを掲げて召喚を試みる。しかし、スマホは光らない。高校生はスマホの画面を確認して苦虫を噛み潰した様な表情をした。

 「コストが足りんか!」

 「なるほど、元々デッキに入れられるモンスターを定めていたコストが召喚の制限になるのか」

 朝凪は復習がてら自分の携帯を見る。プレリュードモンスターズの画面で、自分のコストを表示していた。20分前にコスト25のクロノことナイトメアメイデンを召喚したが、既に20のコストが回復していた。1分に1コスト回復するようだ。

 元々は3体のモンスターで作るデッキに入れられるモンスターを制限した数字だが、状況が変わるとまた意味も変わる。

 「なら召かぎゃあ!」

 別のモンスターを召喚しようとした高校生はスマホごと手を刀に貫かれていた。

 「利き手か、人殺しの対価なら安い」

 「俺の手ぇええっ! 日本の書道界を支える神の手が!」

 「人殺しは人殺しさ。殺されないだけありがたく思え」

 朝凪は呻く高校生の刺された手をグリグリ踏み締めながら呟く。グロい光景を見せられた仕返しである。

 「おーい、そこの黒いの! 味方なら一緒に青い奴らを……」

 青バンダナを倒したことで、味方と思った赤バンダナが擦り寄って来る。しかしクロノが刀で足をぶっ刺す。

 「痛い痛いぃぃ!」

 「とち狂ってお友達にでもなりに来たのかい!」

 朝凪は呻く高校生達を放置してクロノと逃走した。この高校生達は前情報通り名古屋駅を巡って対決していたらしい。

 「裁判官の服が黒い理由を教えてやろう。何物にも染まらない色だからだ」

 「貴様よくも仲間を!」

 「殺してやる!」

 「キェアアアア! 戦うんじゃなかったあああ!」

 青チームと赤チームが朝凪を追い掛ける。何だかたくさん引き連れながら朝凪は必死に逃げて、セントラルタワーズの前まで来た。そこで体力が尽きる。

 「俺が好きな色はモノトーンなんだよ! 赤と青は嫌いなんだ、ガンプラを除いて!」

 騒ぎを聞き付けて、赤チーム青チームの他のメンバーまで合流。360度敵に囲まれ、クロノとも逸れて絶体絶命。

 「ゼェ、ゼェ、やっぱり俺は悪運が強いみたいだ」

 「何を言ってる!」

 「俺は岡崎一、悪運の強い男! 貴様らを倒す算段はある!」

 そんな状況で朝凪は何かを叫ぶ。ハッタリなのか、それとも本気か。しかし朝凪はこの状況を切り抜ける策を思い付いた。

 「俺の策を破りたいなら全部のスキルぶっ放しやがれ。やーい! 都会にいることしか人に自慢出来ない落ちこぼれやーい!」

 「貴様!」

 「待て! 挑発に乗るな! 奴は既に死兵。落ち着いて処理せよ」

 朝凪の挑発に乗りかけた一人がスマホを振りかざす。しかし、リーダーに止められた。朝凪はリーダーを良く見て、付け入る隙を探す。制服はブレザー。青チームの人間らしい。

 「あれ? お前らのネクタイってゴムで止めてんの? だっせー」

 「グッ……」

 リーダーの制服はブレザーだが、ネクタイは既に結んだ形になっているものをゴムで首にかけるタイプの簡易式。まるで蝶ネクタイ。

 「貴様は学ランだろうが芋め」

 「本格的なブレザーでしたー」

 朝凪は悔しがるリーダーに、コートを開けて自分の制服を見せた。ブレザーで、ネクタイも本格的。ちゃんと結んでいる。朝凪のいる高校は私立。そう、『さすが私立』というわけだ。

 「悔しいのう、田舎の芋がネクタイ結べるのに自分は結べなくて。ウヒヒッ」

 「田舎モンが……!」

 安い挑発に乗りかけたリーダーはギリギリで平静を保つ。朝凪は新たな挑発を仕掛けるべく、先日印刷したネットの記事を読んでネタを探した。そして見つけたネタを嘲笑混じりに言う。

 「チームの名前が『蒼い聖騎士団』ダッセー! まんま過ぎ! ウヒャー捻りないし! そんな名前で死んだ奴浮かばれなさすぎ!」

 「召喚! ストームドラゴン!」

 自分が考えた名称を爆笑され、怒りが頂点に達したリーダーはストームドラゴンを召喚。しかし、魔法陣が出現したのは多数のメンバーがいる地面。そこからにょきにょきと出現したドラゴンに人々は逃げ惑う。ドラゴンに押し上げられて吹き飛ぶ人の姿も

 「ブッ……」

 「退避する」

 朝凪は合流したクロノに連れられて退却した。怒り心頭なリーダーは仲間を巻き添えにしつつスキルを放ったりして自爆した。自分を追い詰めたのが、こんな策が通じる相手だったのは、確かに悪運が強いかもしれない。


 同時期 名古屋駅 某カフェ 『七英雄バトル、エマルツ』


 壮絶な同志討ちが発生してる最中、あるカフェでは一人の少女がまったりしていた。季節柄が秋とはいえ肌寒いので、アイスなドリンクなど飲めたものでは無いので、ホットココアを注文している。

 このカフェはスタバの愛称で親しまれている。あまり知られてはいないが、この店のロゴに描かれた女性は歌で船乗りを誘惑して沈める化け物、セイレーン。これはセイレーンの歌の様に人々をコーヒーで魅了するという気合いの表れである。元々は全身が写っていたからわかり易かったが、ある客が『女性がM字開脚をしてるマークだなんてけしからん』と性に目覚めた中学生みたいなことをいうので、こんなモチーフがわかりにくいマークになった。

 「ふー」

 まだ熱いそれを吹いて冷ます。少女は赤いチェックのシャツにジーンズとラフな格好ながら、何処かフワフワした雰囲気を醸していた。服装や持ち物にそうした要素があるわけではない。ただ彼女にその要素があるのだ。

 カフェの外には高校生達が断末魔の呻きを上げながら倒れている。こんな異常事態でもカフェ全体にフンワリした空気を少女は振り撒いていた。セミロングの黒髪も空気を含んでフンワリとしている。

 「あれー? 誰もいないんです?」

 そこで、カフェの客がいないことにようやく気付いた。少女はココアを飲み干してから、ゆっくり財布を取り出す。

 「あー、ピッタリ無いねー」

 財布の中身を見た彼女はレシートに何かを書き、杖を手にしてその場を後にした。

 『ごちそうさま、お釣りはまた今度。千葉棗』

 少女、千葉棗は杖を突きながらカフェを出る。しっかり磨かれて光を反射する黒い杖は棗の左手に握られる。人一人の体重を支えながら、杖はびくともしない。杖にはさながら、少女を守る騎士の風格さえあった。

 棗は生まれ付き脚が悪く、こうして杖を突いている。だからなのか、それとも根本にある本人の性格なのか、彼女は決して慌てない。どんな危機的状況が迫ろうとも、一歩ずつ踏み締めて解決する。慌てたら負け、それを棗はよく知っていた。非常に冷静沈着なのだ。

 「うーん。多分『プレリュードモンスターズ』があれしてこんなんなってるなら、私にもモンスター召喚は出来るはずなのねー」

 棗が始めにしたのは自分の身を守る為にモンスターを召喚すること。プレリュードモンスターズのプレイヤーではなかった彼女だが、こんなこともあろうかと時間がある時に面倒な登録やチュートリアルは済ませてあったのだ。

 後はモンスターを召喚するだけ。マイページ画面の『召喚ボタン』から可能だ。しかし『新着情報』が気になった棗はそこに飛ぶ。

 「あー、プレゼントー」

 運営からプレゼントがあった。爆音が近づいているのに、ゆったりプレゼントを確認する棗。プレゼントは『Sレア確定レアガチャチケット』。それを使い、ガチャを引く。

 「かわいいー」

 ガチャから出て来たのはシスターのモンスター。金髪のベリーショートに勝ち気な瞳。修道服の右には深いスリットが入り、ゴツいブーツが目立つ。右股にはホルスター、手にはリボルバー、腰にガンベルト。名前は『シスター・レア』

 棗はそれを早速、召喚出来るようにする。マイページの『召喚ボタン』を押し、『クイック召喚』をシスター・レアに設定。これで大量の手持ちモンスターから好きなものを即座に召喚出来る。

 「ハハハ……あんなとこにいい女がいるぜ……なあエマルツ」

 危険回避の準備が完了した棗の前に、早速危険が現れた。涎を垂らした坊主の男子中学生が歩いて来たのだ。腕には青いバンダナが巻かれていた。横にいるエマルツは天狗のモンスター。地下街にも関わらず風が吹き荒れる。

 「我らは無敵、故にその女を好きにしても構わんだろう」

 さりげなく天狗は無茶苦茶を言う。天狗のエマルツは先程棗が引いたシスター・レアほどデザインが良好ではなく、絵に書いた様な捻りの無い天狗だ。

 「どうだ凄いだろ俺のエマルツ! ゴッドレアっていうんだぜ! さあ、命が惜しければ……」

 「召喚、シスター・レア!」

 性に目覚めた中学生に狙われるというこれ以上に無い貞操の危機に面しても棗は冷静だった。シスター・レアがどれほど強いかはわからないが、敵がレアと戦っている間に逃げることも可能だ。願わくば、瞬殺だけはされてくれるな。

 棗が掲げたスマホから白い光がほとばしり、白い魔法陣が現れた。そこから、ゲームイラスト通りのシスターが姿を現す。何故かどんぶりと割り箸を手にしており、ペタンと地面に座る。

 「ひゃあっ!」

 自分で召喚したものの、予想以上の出来事に棗は驚いてしまう。冷静というのも思考回路が順序立てて物事を考えるのに最適化しているだけで、こうした驚かしには人一倍弱い。

 「な、何が……」

 シスター・レアは辺りを見渡した。そしてどんぶりの白飯を掻き込む。箸やどんぶり、口元にはタレが付いており、焼肉でも食べていたのだろうかと思えた。

 「あ、あたし召喚されたんだ!」

 状況を理解したレアは立ち上がり、棗に向き直る。ただし、どんぶりと割り箸は持ったまま。

 「最後の追い込みだったのにどうしてくれんの!」

 「な、何がー?」

 「食べ放題よ! 食べ放題!」

 食べ放題中にレアは召喚された様だ。シスターが食べ放題に必死とは、なかなかシュールな光景である。

 「ええい、この怒り! お前に晴らしてやる!」

 レアはリボルバーに弾丸を込めながら、エマルツに八つ当たりの準備をする。シスターとは思えない行動だ。

 「あ、タレ付いてる」

 「ん」

 棗はレアの口元をハンカチで拭う。とりあえずシスターなら身嗜みは整えてほしいものだ。食べ放題で必死だっただろうが。

 「やめておきなされ。我々ゴッドレアのモンスター代表、七英雄に刃向かうなど……」

 「あれー? レア度って最高がゴッドレア+じゃなかったっけー? ノーマル、ノーマル+、ハイノーマル、ハイノーマル+、レア、レア+、Sレア、Sレア+、SSレア、SSレア+、ゴッドレア、ゴッドレア+。うーん?」

 棗が確認しても、最上位の一つ前などという微妙なレア度だった。これなら自慢しない方がマシである。

 「わからんなら説明してやろう。七英雄とはモンスター界の武術大会で優勝した七人のモンスターだ」

 「へー?」

 棗はよくわかっていないみたいなので、レアが本をペラペラめくって追加説明をする。

 「あたし達モンスターはモンスター界ってところから来たんだ」

 「そうなの?」

 「ああ。なんか武術大会が7ヶ所あったらしく、その風属性部門で優勝したのがこの天狗なんだとさ」

 「大変ねー」

 「人事かよ……」

 レアは半分も理解出来ていないだろう本の内容を読み上げた。棗は自分なりに解釈してみる。

 「つまり凄い人?」

 「さらにいえば凄い強い人だよ」

 エマルツは余裕ぶって説明した。凄いと言われてうれしそうだが、ここで謙遜できなければ小物臭さが漂うことになる。

 「参加していないモンスターが多いからと我らを侮辱する輩も多い。しかし! そいつらは参加する勇気が無いだけ!」

 「そうなんだー」

 「さあ、私に本気を出させてみろ!」

 エマルツは風を起こし、レアに突撃した。レアはゆとりを持ってリボルバーを取り出し、構えた。

 「私の風は弓矢も弾ぎゃあ」

 レアの弾丸がエマルツの脳天に直撃。エマルツは倒れた。しかしレアの攻撃は終わっていない。

 「そーら、そーら」

 「ぐげべ!」

 6発の弾丸を叩き込まれ、エマルツは既に瀕死。どうやら弓矢は防げても銃弾は無理だったみたいだ。弓矢を防げる自信こそ弱点。レアは棗にある指示を出した。

 「スキルだ!」

 「え? 【シルバーバレット】?」

 『シルバーバレット、リベレート!』

 棗はスキルの名前を読み上げた。スマホがそれを拾い、電子音で何かを伝えた。レアのリボルバーが煌めき、エマルツに狙いを定めた。

 「主催者さんが言うには、プレイヤーに解放してもらわないと使えない技があるんだよね」

 「や、やめろぉぉぉぉ! 死んでしまうッ!」

 「あばよ」

 フラフラと立ち上がり、背中を向けてエマルツは逃げ出した。しかし、スキルは既に発動された。背後から脳天を弾丸で貫かれ、エマルツは断末魔を上げた。

 「タコスッ!」

 エマルツは頭部が吹き飛び、バタリと倒れた。エマルツの残された肉体は緑の光となって砕ける。

 「ああああああああゴッドレアがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 敗れたショックで中学生は泡を吹いて倒れた。よほどショックなんだろうか。なんといってもエマルツはゴッドレア、シスター・レアはSレアかつ引いたばかりでろくに強化していないモンスター。レアは中学生のスマホを踏み砕いて棗に向き直る。

 「今から帰っても時間切れだろうなあ……、これでスイーツでも食べに行く?」

 中学生の財布からいくらかの札束を抜いていたのだ。ついでに爪先に鉄が仕込まれて安全靴になっていたブーツで股間を蹴り、スパイクになっている靴底で踏む。

 「去勢!」

 「わー、痛そうー」

 レアのえぐい去勢にも、棗は人事みたいに感想を漏らす。この痛みは男にしかわかるまい。


 同時期 名古屋駅前ビックリカメラ 『七英雄バトル、ダイイミカ』


 ビックリカメラの前まで待避した朝凪とクロノは、しばらく休憩していた。

 「いやー、死ぬかと思った」

 クロノが助けてくれなければ、朝凪は死ぬギリギリだった。名古屋駅を巡って領土争いをしていた集団はあれで殆ど自滅してくれた。抑えの効かない奴らだからこそ、あんなチープな挑発に乗ってくれた。

 戦う相手がとことん小物や雑魚であることを含めて、朝凪の悪運は強かった。敵が立派な戦士ならこうもいかないだろう。ソーシャルゲームという『金を出せば強くなる』土壌だからこそ、朝凪の敵に精神面が充足した戦士がいなくて済むのだ。

 金を出したモンスターで好き放題するのは精神が未熟な者のみ。本当に狡猾な者はモンスター実体化を好機とは思えない。そういう意味で真の強敵が敵対しない環境であるのも彼の悪運が為せる技か。

 本当に狡猾な者は今頃、影で様子を見ているだろう。彼らが動く頃には朝凪やクロノも戦いに慣れていることなので、タイミング的にもやはり悪運が強い。

 要するにレベル1の勇者がスライムより強い敵に会わない法則みたいなものだ。悪運だけは岡崎一を名乗るだけあり、かなり高い。

 「敵が雑魚ばっかなのもラッキーだな。あいつら、ゲーム時代同様にステータスのごり押しが効くと思ってやがる」

 朝凪が無課金プレイヤーながら無双出来る理由はこれだ。普通のゲームだった時代のプレリュードモンスターズは何よりモンスターのステータスが大事。いくら属性相性やスキルを考えても、これがなければ始まらない。

 そもそも、相手がゲーム時代の様にターン制で動いてくれるとは限らない。不意打ちでモンスター召喚前に攻撃することも可能だ。朝凪もそれを警戒してクロノを召喚したままにしている。また、プレイヤーを攻撃して召喚を妨げたり戦法は無限大だ。

 「せっかく来たし、プラモでも見に行こうぜぃ」

 「どうせどこで見ても変わらないでしょ?」

 「品揃えと展示サンプルが違うんだよ。プラモって常に製造しているわけじゃないから、売り切れたら再販待たないとだな……」

 敵を一通り倒して一応の平和を取り戻した朝凪達はビックリカメラの3階、おもちゃ売場に向かった。フロア丸々一つ使うだけはあり、広大だ。プラモコーナーはそこまで広くないのだが。

 ビックリカメラの店舗が頑丈だからか、割りと人々が避難していた。電車も止まってすぐに逃げられなかったのだ。

 「よし、ちゃんと組んであるな。見ろよ、銀の塗料をアクセントに塗って塗装剥げを再現してんぞ!」

 「……」

 興奮する朝凪にクロノはついていけなくなる。プラモデルの箱を眺めても、彼女はその良さがわからない。

 「男の人ってこういうのが好きなの?」

 「ロボットは男のロマンだからな!」

 やはり、男と女は同じ生き物の雌雄なのに解り合えないのか。そもそも朝凪とクロノでは人間とモンスターという、種族の違いがある。

 「刀は? 私をクリエイションする時にかなり集めたみたいだけど?」

 「刀もロマンなのだよクロノくーん。君の持つそいつは『呪縛刀黒無銘』。多数の妖刀を合成して生んだ刀だよ」

 プレリュードモンスターズにはクリエイションという特殊な合成システムがある。プレイヤーの選んだカードを素材に新たなモンスターを生み出すのだが、たまに超クリエイションといってサーバーに存在しないカードを創造する時がある。

 クロノことナイトメアメイデンもその超クリエイションで生まれたモンスター。このシステムは開発側しか事情を知らないブラックボックス。ガチャの経営などをする運営は詳しくこのことを知らないらしい。

 「今なら店員がいなくてプラモデル取り放題だけど?」

 「やめとく。プラモデル『だけ』は売上に貢献したいからな」

 朝凪とクロノは店舗を出て、駅へ歩いた。そこで、奇妙な光景を目にした。杖を突いて歩く少女まではまだ普通だったが、改造した修道服のシスターがとんでもないことを話していた。

 「いいのかなー?」

 「いいのよ! 考えても見な、あいつら金があったらまた課金するじゃん! テロリストが弾薬買う金をわざわざ残してやる義理は無いのさ! 安全の為にあたしは財布から金を抜くんだ、敵の銃から弾丸を抜く様に!」

 どうやらこのシスター、倒した敵の財布から金を抜いたらしい。聖職者にあるまじき行為だが、彼女の発言に一理ある。

 加減無く暴れているのは大体ゲームに課金してるプレイヤー。課金することで強いモンスターを調達しているのだ。なら課金の元を断つしかない。

 「課金するってことはろくでなしの運営を付け上がらせることになるからな。警察は奴らの会社にモンスターがいるから踏み込めないし」

 この異常事態を引き起こした運営にむざむざ金を渡すこともない。それこそ運営の思う壷。なら、倒した相手の携帯からトレード機能やプレゼント機能でカードやアイテムを頂いてはどうか、なんて朝凪は考えた。

 課金したら負けなら、他人が既に課金で入手したものを奪えばいい。アイテムや強いモンスターが残っていると、倒してもスマホ壊してもキリがない。

 「それに、今の状態はアホが拳銃より強力な装備を拳銃程度の値段で拳銃より簡単に手に入れられる状態だ。何処の馬鹿がマヌケな発想でその力を使うかわからない以上、とりあえずソシャゲに際限無く金使う害獣共は殺処分するに限る」

 課金くらい個人の趣味なので問題は無いと朝凪も思うが、この状況では課金が危機的状況への肩入れにしか見えないのも確か。それに、ソーシャルゲーム会社が『儲かるゲーム』と『面白いゲーム』が別であることを無視し、面白いゲームを作れるわけではないのに『有名ゲーム会社の倒し方』とか思い上がった発言をするのを、シナリオライター志望の朝凪は許せなかった。

 このゲームだって、売れはするが面白くはないだろう。朝凪もクロノという思い入れのあるモンスターを無制限に強化できなければ、とっくに飽きてやめていた。ただ、携帯のボタンを連打するだけのゲームであるというのが実情だ。

 朝凪は辺りを見渡し、状況を確認した。まだ名古屋駅の覇権を巡る争いは続いていた。なぜ突然こんな戦争紛いのことが始まったのか、朝凪にはわからなかった。多分、弟の仁機なら『男性的思考の中にある優越思考や所有思考が引き起こしている』と推測するだろう。現に、戦っているのは男が多い気もした。

 「これは?」

 ふと、多数の死体が転がっていることに朝凪は気付く。ここは名古屋駅の入口、太閤通り口だ。死体はどれも青いバンダナの集団である。

 「激戦の匂いは避けたいんだがな……」

 その死体の山を築いた犯人がそこにいた。ピンクの髪で、鉄の腕を持つ筋肉ムキムキの若い男。モンスターだ。

 「さあ! もっとかかってこい! この七英雄、ダイイミカの経験値となれ!」

 「七英雄? ロマサガか?」

 男は七英雄のダイイミカと名乗った。朝凪の中で七英雄といえば、ロマンシングサガ2の七英雄なのだが、これはどうしたことか。

 「まあ雑魚だろうな。名前からして」

 「ダイイミカはゴッドレアのモンスターなんだぞ! 雑魚はお前だ!」

 朝凪がダイイミカを雑魚と断定すると、反論があった。太った子供で、絵に描いた様なクソガキだ。朝凪は子供が大嫌いなのだ。

 「ゴッドレア? 最高はゴッドレア+だろ?」

 「同じレアモンスターにも格があるんだよ! ダイイミカはゴッドレア+を越えてるんだよ!」

 「ま、全員貰えるSレアがガチャのSレアにステータスで劣るのは確かだがなぁ」

 クロノとダイイミカが対峙する。贔屓目にダイイミカを見ても、クロノの方が強い気がした。ステータスはダイイミカの方が強いのだろうが、ターン制バトルでは無いこの戦い、ステータスがいくら高くても雑魚に成り下がることはある。

 朝凪はクソガキが赤いバンダナを腕に巻いていることに気付いた。恐らく、赤チームのメンバーだ。

 「さあゲームだよ! 今俺16連勝してるから!」

 「まさか、この死体……」

 クソガキが言った連勝数と、転がる死体の数が一致する。まさにゲーム感覚で人を殺していたのだ。

 「わかっているのか? これはもうゲームじゃない、殺し合いなんだ! わかっててしてるのか?」

 「うるさいなあ! 俺は死なない! 死ぬのは貧乏な雑魚だけってお父様が言ってたもん!」

 「家が金持ち、デブとくりゃクソガキのテンプレートだなこりゃ!」

 クソガキはどうも、自分だけは死なないと思っているらしい。糞や滓の典型例、戦争を起こす政治家の発想だ。しかし悲しいかな、人も生き物である限り死ぬ。それを朝凪は理解していた。だから卑怯な戦法で生き残りを図るのだ。自分だって死にたくない。

 「ダメだこいつは、ほかっておいたら死人が増える。あと、クソガキ過ぎて見るに堪えん」

 「やったー。17連勝目ゲットー! こんな安物のコート着た貧乏人には負けないよ!」

 朝凪は戦いを避けたかったが、こいつばかりは放置し切れなかった。倒せる時に倒したい。既に作戦は頭の中。朝凪は逃げたいと思う中で、同時にクロノという力でなるべく戦いを止めたいとも思っていた。

 「見せてやれ! 【鉄拳】!」

 『鉄拳! リベレート!』

 「あいよ!」

 ダイイミカが右手の拳をビックリカメラに突き出す。そして、右手が発射された。ロケットパンチだ。ビックリカメラの看板に直撃。

 「戦わないと今度はお店を狙うよ! あとゴッドレアには2つのスキルがあるんだ! 【鉄闘撃】!」

 『鉄闘撃! リベレート!』

 「ナニィ!」

 さらに、ゴッドレアは2つのスキルを持っていた。エネルギーの玉をダイイミカは放ち、猛スピードで朝凪に飛ばす。

 「うおっ!」

 「危ないっ!」

 いきなり人間を狙った攻撃にクロノが辛うじて反応。しかし、防ぐ暇が無くまともに喰らってしまう。

 「かっ、はっ!」

 「クロノ!」

 鉄球をぶつけられた様な衝撃がクロノを襲う。アスファルトで激しくバウンドしながら彼女は吹き飛ばされ、力無く地面に横たわる。背中の翼が消え、これを形成する魔力を回復に回さねばならないほどのダメージであることがわかる。

 「うあっ……」

 「くそ、撤退するぞ!」

 「ダメっ、こいつ……は私が!」

 重いダメージで目が霞み、頭がボーッとする。しかしヤバくなったらすぐ逃げるが信条の朝凪が出した撤退の提案を無視してクロノは戦おうとする。立ち上がっても足元が頼りなくふらつき、呼吸する度に胸が激しく痛む。

 「あなたは逃げて」

 「冗談! 嫁を置いて逃げれるか!」

 朝凪はクロノに触発されて戦う選択をする。既に倒す算段は付いている。後はどうやって気を逸らすかだ。

 「私がダイイミカと戦う。任せた」

 ダイイミカはクロノが引き付けるとして、クソガキの気を逸らす必要がある。クロノは朝凪の作戦に気付いていた。そして朝凪はあることに気付く。それを言ってみることにした。

 「スキルって使ったらしばらく使えなくね?」

 「あっ!」

 脅したはいいが、店の襲撃を実行出来ないのだ。スキルは使うとしばらく使えない。店を人質に取っても、ロケットパンチが無ければ意味がない。人質はいつでも殺せる環境があって、初めて人質が整理する。

 「クロノ、【絶閃】!」

 『奥義解放! 絶閃!』

 「あばあああ!」

 ダイイミカはクロノに切り裂かれた。スキルとはこの様に、いざという時に使わなければならない。

 「んくっ……!」

 全身の骨にダメージを受けたクロノは自分の技にも身体が耐えられなくなっていた。か細い身体が軋む。

 「仕返しだ!」

 「くっ!」

 ダイイミカの反撃パンチも、クロノは刀で防御する。スキルで与えたダメージがダイイミカの動きを鈍らせ、競り合いでアドバンテージを得た。

 「う、あああっ!」

 しかし、全身に力を込めるとその分だけ激痛が走り回る。それでも、クロノは防御を緩めない。

 「このッ! このッ! このッ!」

 「ぐっ、はぁっ!」

 全力の力を込めたパンチをダイイミカが放つが、全て刀に受け止められる。刀はびくともしないが、クロノの身体は限界を向かえていた。

 しかし、クロノの方が重いダメージを受けながら互角とはこれいかに。

 「チッ、だったらもっと強いのを……」

 クソガキが新たにモンスターを召喚しようとスマホに目線を落とす。ダイイミカもクロノとの戦いに集中する。その隙に朝凪は動いた。

 「うべっ!」

 「何ィー! 召喚者を殴った!」

 召喚される前にクソガキを殴り飛ばし、阻止する朝凪。まさかこういう妨害方法があったとは、ダイイミカもビックリだ。朝凪の作戦とはこれだ。当初は何かで気を逸らす予定だったが、必要なくなった。

 「貴様を葬ることに、罪悪感無し!」

 「ならやってみろよ!」

 「ほい」

 朝凪は倒れて負け惜しみを吐くクソガキの顔面を蹴り飛ばし、スマホを持った手を踏み付けてスマホを奪う。この世界では、スマホは凶器と同じだ。しかも靴は最近、安全靴に変えた。

 痛い痛いと泣き喚くクソガキだが、朝凪は意にも介さずスマホを操作する。

 「これとこれはトレード、これは売却っと」

 行っているのはモンスターの没収。例え敵を倒しても、そいつが復活したら意味がない。モンスターやアイテムを奪ったりして戦えない状態にすれば、しばらく復活出来ないだろう。

 モンスターで悪事を働くのは大抵未成年。補導で済む年齢では警察にも逮捕されないので復活が早い。だからなるべく手を打つのだ。売却で手に入るのは無課金でも腐るほど手に入るゲーム内通貨だから気にしない。

 「さて七英雄は……」

 「ぐあっ、んんっ!」

 「殺してやる!」

 召喚者も倒したことなので朝凪はダイイミカを見た。すると、クロノを巨大化した鉄の手で締め上げていたので消すことにした。

 携帯を掲げ、赤い魔法陣を呼び出す。

 「召喚! ブラックアッシュドラゴン!」

 「ぐべっ!」

 黒いドラゴンが割り込み、ダイイミカをぶん殴る。クロノは鉄の手から解放された。

 「【フレイムブリーズ】!」

 『フレイムブリーズ、リベレート!』

 「ぶへぼっ!」

 炎のブレスでトドメを刺す。ダイイミカは鉄属性。この属性は全ての属性を半減する効果があるのだが、これだけ喰らわせれば無意味。半減されるなら2倍の手数でボコればいい。

 「お? ダイイミカ? こんなダサいモンスターいらね。売ろっと」

 「や、やめろ! やめてくれ!」

 朝凪はダイイミカに聞こえる様に、そんなことを宣う。懇願するダイイミカを見てニヤつきながら、朝凪は迷わず売却ボタンを押す。

 「やめてくれぇええッ!」

 売却されたダイイミカは姿が灰色の光になって砕ける。実際には、カードの売却や合成はモンスターを『召喚する権利』を売ってるに過ぎないので、ダイイミカは無事だろう。だが、妙に人間界に固執するモンスターがいたりするのだ。

 「クソッ、卑怯だッ! 殺してやブッ!」

 「いいか、これは社会勉強だ。ただのクソガキが調子に乗るな」

 喚き散らすクソガキの頭を踏み付け、朝凪はスマホをアスファルトに叩き付けて破壊する。これでしばらく動けはしないだろう。

 「クロノ、ほい」

 朝凪は負傷したクロノにあるドリンクを渡した。モンスター実体化で新たに実装された、モンスターの回復薬だ。課金アイテムだが、クソガキが大量に持ってたので全部自分にギフトした。

 それを飲み干すと、クロノの傷がたちまち治る。回復には一度モンスターを戻してしばらく待つ必要があるが、これを使えば即座に復活出来る。しかし体力や魔力などは完全に回復しない。治るのはダメージだけだ。疲労は残る。

 「うぅ……」

 「大丈夫か?」

 「……」

 クロノは黙って頷く。朝凪はクソガキの財布から奪った万札の束でパタパタと扇ぐ。

 「臨時収入だ。今日わかったけどその服、目立つな」

 「え?」

 クロノは自分の服装を見る。ボロボロになってはいたが、翼が無いと肩や背中が大きく開いた、大胆な衣装に見える。

 「そう、かな?」

 「人間に紛れる為の服買いに行こうぜ。この辺なら服屋くらいあるだろ」

 朝凪とクロノは服屋に向かった。暗黒の少女とシスター、その召喚者である2人が出会う日は近い。

 本日のキーモンスター

 シスター・レア

 属性:光

 レア度:Sレア

 コスト25

 スキル:シルバーバレット(闇属性モンスター1体に大ダメージ)

 説明文:デビルハンターをするシスター。銀の弾丸を込めたリボルバーで闇を撃つ。

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