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プレリュードモンスターズ  作者: 級長
学園闘争編
33/61

【速報】プレリュードモンスターズ、この冬アニメ化

 春休みのある日、私の元に一通の封筒が届いた。それが全ての始まりだった。

 プレリュードモンスターズ、ついにアニメ化! 実体化事件直後から朝凪一機の大学入学までを描いたものとして、今年の冬にアニメ化するとのこと。雑誌等での正式発表は夏だが、今回特別に文章のみの情報公開が許された。

 主人公は真田リーザとそのパートナー『クリムゾンセイバー・シャーマ』。この2人が敵対するのはモンスターによる対外戦争を目論む『新帝国軍』! 都知事だった男がかつての歪んだ憧れを元に、戦乱の火種をばらまき始める!

 さらに、シャーマやアラクネ等に新アームドオンが追加! しかもアラクネは原作より早いタイミングで『シャドウ・アラクネ』になるとのこと。

 声優志望の皆さんはここから注目! アニメ化に際し、『アラクネ』や『ダークナースエンジェル・イヴ』を始めとするモンスター役を未経験者からオーディションで一般公募!

 ゲーム中に登場するモンスターカードのイラストも募集されるらしい。準備急げ!


 プロモーションノベル

 プレリュードモンスターズ The Animation


 全てはここから始まった。それまでは、プレリュードモンスターズはただのソーシャルゲームだった。

 『プレイヤーの皆さん、おはようございます。私はプレリュードモンスターズ運営、ユートピア社の代表です』

 名古屋駅の太閤通り口は通勤、通学の人々でごった返していた。その近くには巨大なモニターがあり、そこでスーツを着た人が会見をしていた。付近の家電量販店のテレビも同じ映像を流しており、異様な光景を朝の爽やかな時間帯に浸透させる。

 『我々はゲームをより楽しんでいただくために、モンスター実体化システムを実装しました。モンスターが現実になれば、より多くのプレイヤーにガチャなどを利用していただけるかと』

 ざわめく群集。今日はエイプリルフールではない。つまり、これだけのことをして『嘘でした』では済まされないのだ。何故、何のために、こんなことをするのか。群集にはわからない。

 その群集からある光が放たれた。あるプレイヤーがモンスターの召喚を試したのだ。

 『早速ご利用いただけて嬉しい。マイページの召喚ボタンから、ぜひ召喚してほしい。ゲームが現実になる様を、体験いただきたい』

 召喚されたのは人の背丈の二倍はあろう、石造りのゴーレム。群集はパニックに陥る。召喚したプレイヤーは何を思ったのか、突如叫んだ。

 「さあ、暴れろ『ロックザゴーレム』!」

 『楽しんでいただけてるようで何より。彼は強いモンスターをガチャで手に入れた。強いモンスターを持つプレイヤーが犯罪をする可能性など計算済み。身を守るために、皆さんもガチャを回して強いモンスターを手に入れようじゃありませんか』

 テレビの男はニヤリと下品に笑った。群集は抗議の声を上げた。命を人質にガチャを回させようとしているのだ、この男は。

 ソーシャルゲームは一度コンプガチャを規制されたほど阿漕な商売。それが今度は命を盾にし始めた。

 『命のためなら金など惜しくないでしょう? さあ回して! 出来なければ死んで下さいよ!』

 別の場所にモンスターが召喚され、さらに混乱が深まる。人々は逃げ惑い、課金すべく急いだ。


 長篠高校 教室


 「そんなことがコンビニであったんだ」

 「それは大変だったね」

 その日、朝凪一機は学校の最寄駅の二つ前から歩いて通学する羽目になった。何故なら、先のソーシャルゲーム『プレリュードモンスターズ』に関わる混乱で電車が止まったからだ。

 だが、一機は憧れのクラスメイト、真田リーザと話すためだけに歩いて学校まで来た。受験も終えた彼が学校に来るのはそのためだけだ。

 「いやしかし、モンスター実体化か。二次元行きへの希望が見えたな」

 「そうだね、こうしてモンスターが出てくれるなんて」

 朝凪とリーザは、互いに互いのモンスターを見た。朝凪の相棒、ナイトメアメイデンことクロノと、リーザのパートナー、クリムゾンセイバー・シャーマだ。

 クロノは黒い和服をベースにした、華やかな和ゴス衣装を纏っている。腰の下まで伸びた艶やかな黒髪が目を引く、闇属性のモンスターだ。

 シャーマは長篠高校のブレザーを着て、淡い赤の髪をポニーテールにしている。それぞれ、高校生活を共に過ごした『嫁』である。

 「ほら、お土産」

 「わあ、カロリーメイト」

 朝凪はリーザにカロリーメイトのチョコレート味を渡す。好物なら熟知している。コンビニの混乱に紛れてパクって来たというわけだ。

 「なんだ?」

 「爆発?」

 そうこうしていると、何処かで起きた爆発の振動が校舎に伝わる。急いで廊下に出て確認すると、グラウンドでモンスターが暴れていた。

 「マジか」

 「新しいシステムがあるんだけど、試す?」

 頭を抱える朝凪に対し、リーザはスマホの画面を見せた。息を合わせ、携帯を掲げる。

 「ブラックアッシュドラゴン!」

 「クリムゾンセイバー・シャーマ!」

 「エマージェンシークリエイション!」

 窓からグラウンドに飛び降りたシャーマは、夏服に着替えて二刀流になっていた。ブラックアッシュセイバー・シャーマ。新しいシステムによって生み出された存在だ。

 「狼藉者め、刺激的に潰してやる!」

 「私達のモンスターで!」

 ここから始まる、前奏曲の終わり。


 キャスト

 真田リーザ:藤井美波

 シャーマ:花澤香菜

 朝凪一機:小野坂昌也

 クロノ:早見沙織

 千葉棗:豊崎愛生

 レア:日笠陽子

 遊佐佐智子:甲斐田裕子

 フェアウルフ:小野大輔

 目黒カナメ:堀田いずみ

 ルナ:三森すずこ

 ハル:代永翼

 朝凪「ていうか……今日は俺の誕生日……」

 クロノ「三つ子なのになんで誕生日が一人だけ違うの?」

 朝凪「俺だけ一番最初に出て来たからさ、ギリギリ4月1日なんだよ。しかも俺の後に仁機が出るまでに結構かかったんだよ。俺が死にかけたせいで」

 イヴ「出生届的に一機も一緒にするにはしょっぱい時間だったみたいね」

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