実験開始3
【被験者001号】、【被験者002号】、【被験者003号】全員が目を覚ました。後から目覚めた【被験者001号】と【被験者002号】は不思議そうに辺りを見回していた。やはり、状況が掴めないようだ。 「では、諸君」私は彼らに話しかけた。「私は、蟻川一二三博士である。はい、自己紹介は終わり。それと君達が今から呼び合うあだ名を教えよう」 「あだ名?」 私は左の女性を指した。「貴様は【被験者001号】」そして、次に真ん中の男性を指した。「貴様は【被験者002号】」最後に左の男性を指した。「貴様は【被験者003号】」 「何よそれっ」【被験者001号】は叫んだ。「被験者って、まるで実験の対象者みたいじゃないっ。如何いう事よっ」 「当たりだよ。【被験者001号】。貴様らはある実験の対象者。それを今から説明しようと思ってね。先ずは、これを見てくれたまえ」 と言うと、私はケージを持ってきた。中からは、「キーキーキーッ」と、近所迷惑、いや、むしろ災害、と言える程の叫び声が聞こえた。 「何だそいつはっ」 【被験者002号】はケージの中の物を見ると目を見開いて叫んだ。 中には、猿1匹の両肩に1つずつ猿の顔が有る最近製作した【3生命体同体猿試作品001号】が入っていた。 「貴様らを今からこの様にする」私はケージの中にいる【3生命体同体猿試作品001号】を指しながら言った。「分かるか?」 「いや、全く。理解不能です」【被験者003号】が正直に答えた。うん、素直で宜しい。これから分からせてやるけどな。 「貴様らの身体を使って、私が【3生命体同体人間試作品002号】を製作する。大丈夫、誰も死にはせん。先ず誰か1人を中心部に選び、その他の2人は首根から上だけを使って中心部の両肩にくっ付ける。その身体を自由自在に動かす事が出来るのは元々の身体の所有者、中心の人間だけだ。痛みや、空腹感等と言った身体的なものは共有している。如何だ。凄いだろう?」 「で、それを作って如何するの?」【被験者001号】が言った。おっ、中々冷静に言うね。やっぱり、女性って精神的な面で凄いわ。 「私の実験成果にする」 「それだけ?」 「それだけ」 「畜生っ。俺達は物じゃねっ」【被験者002号】が叫んだ。 しかし、物になる。現在進行形ではなく、未来形だ。それも、直ぐに訪れる未来形。