第一話
「春雨って知ってる?」
「ハルサメ?」
「そう、春雨」
「ヌードルのやつ?」
「いやいや違うから。春に降る雨の事だよ」
「それが?」
「情緒があっていいと思わない?」
「ふーん。そうかもねー」
「なにそのつまんなーいみたいな口調は」
「あぁ。ばれた?」
「ばれた」
「はいはい。で、情緒がなんだって?」
「春雨は情緒があるという話し」
「でも雨なんか降ったら桜とか散っちゃうよ」
「そこがまたいいんだよ」
「そんなもんかね」
「うん。そんなもん。でさー」
「何?」
「明日は春雨が降るんだー」
「なんで分かるんだよ」
「私の第6感が言ってるの。でね、春雨の降る明日、私と桜を見に行きませんか」
「まっ、素敵なお誘いだこと」
「ごまかすな。で、行く?つか、来い」
「強制参加になってるや」
「春雨に打たれて桜の花びらが散っていく・・・・。見たいと思わない?」
「強制参加なので何も言うまい」
「じゃあ、明日9時公園前集合ね」
「りょーかい」
「じゃ、あたし次化学室だから・・・・ってやばい!!」
「ほーら、チャイム鳴っちゃった」
「化学室遠いのにー!!」
「小久保によろしくねー」
「早く行かんと。じゃね!!」