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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
第1章 破滅と対価

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第7話 関係ないとは言えない

「本当の破滅。」


それが何を意味するのかは分からない。


ただ――

最悪だということだけは、分かる。


紅希の人生が終わるのは、良くないと思う。

でも、セラさんが悪い悪魔ではないとも思う。


だからこそ、俺は迷う。


きっと、ラエルさんが言っていることも、そうなのだろう。


紅希が言った。

「破滅ポイントがあれば、やめられるの?」

「それとも、いつでもやめられるものなの?」


「手を引くには、何か代償があるとか……ないよな?」

俺も聞いた。


ラエルが答える。

「ある程度の代償で、やめられるわ。」

「それこそ、破滅ポイントよ。」

少しだけ間。

「その代わり、対価で受け取ったものは消えると思うけど。」

「もしくは――」

「この破滅ポイントで受け取るはずだったものが、手に入らなくなる。」


セラが小さく首を振る。

「受け取るっていうか……駄目なのよ。」

「活動している分で全部相殺されてるから。」


少しだけ視線を落とす。

「私には、抜け出すことはできないの。」


ラエルが腕を組んだ。

「なるほど……。」

「まあ、そうなるわよね。」


小さく、息をつく。

「追加分が必要なのね……。」


俺が言った。

「あのさ……。」

少しだけ迷ってから、続ける。

「俺、この前、女の子に連絡先聞かれたんだ。」

「結構いい感じだと思う。」

少しだけ間。

「それ、切ったら破滅ポイントになるか?」

紅希が、少しだけ目を見開く。

「足しになるのなら……切ってくれ。」


……それくらいしか、思いつかなかった。


セラが言った。

「あなたの幸せを差し出す必要はないわ。」

少しだけ間。

「そもそも、あなたは関係ないでしょう。」

「私があなたのところに住みついたのは、そういうのじゃないから。」

少しだけ視線を逸らす。

「迷惑、いっぱいかけてるのよ。」

「だから、やめて。」

「それに……意味ないわ。」


紅希も続けた。

「知り合ったばかりの俺のために、いい感じの子を手放すのって、だめだろう。」


……じゃあ、どうすればいいんだ。


ラエルが、静かに言った。

「でも、それも破滅ポイントになるでしょう。」

一瞬、空気が止まる。

「青斗が選んだとしても、セラが破滅させればいいだけ。」

「それに、それは皆の痛みも伴うわ。」

「だから、ポイントとしては結構いいはずよ。」


ラエルは、手元の何かを見ていた。

コンパクトのような、小さな装置。

「やっぱり……。」

少しだけ間。

「切りなさい。」


ラエルが小さく頷いた。

「一応、邪魔はさせてもらうけど。」

「天使のルール上。」


……言い切るには、少しだけ迷いがあった。


……それでも、選ばせようとしている。


「……切ってくれ。」


「嫌よ。」


「切れ。」


沈黙が流れた。


そして――

セラは、切った。


俺は、彼女が心配になった。

すぐに連絡をしようとする。


……繋がらない。


もう一度。


繋がらない。


(……こういうことか。)


ラエルが言った。

「今のうちに切って、違う人に行ったほうがおすすめだったわ。」


……これが、破滅なのか。


青斗が言った。

「合理的だな。」


ラエルが言った。

「そうとも言うわね。」

「結構、私、合理的なの。」


セラが言った。

「それでも――」

「これからは、こんなことしないで。」


少しだけ間。


「あなたは、何も関係なかったのよ。」


さらに、小さく続ける。

「紅希は……ないでしょう。」

「浮気な気がするのよね。」


「……。」


「ああ……もう俺も、関係ないとは言えないな。」


少しだけ間。


「ここまで来たら、そうね。」

ラエルがさらに続けた。

「自分から言い出すとは思わなかったわ。」


……もう、戻るつもりはなかった。


「なあ、セラさん。」

「ごみを片付けるとかでは駄目なのか?」


少しだけ間。


「それこそ、ゴミポイントしかならないわ。」


「安いな……。」


紅希が言った。

「俺も、少し考える。」

「考える時間、くれる?」

セラに言った。


少しだけ視線を落とす。

「曜日別でも……本当に、皆のことを大切にしてるんだ。」

「俺にとっては、皆唯一無二っていうか。」

言葉を探すように、少し間が空く。

「ちょっと……どうしたらいいかわからない。」


「……そう。」


ラエルが言った。

「そろそろ、あなた時間じゃない?」


紅希が、はっとしたように顔を上げる。

「そうだった。行かなきゃ。」


少しだけこちらを見て、続けた。

「青斗、本当にありがとう。」

「俺のために。」


「後で連絡する。」


「あ……連絡先、交換しよう。」


俺たちは連絡先を交換した。


「後で連絡するから。」

「じゃあ、また後で。」


「じゃあな。」


紅希は、軽く手を振って店を出ていった。


……残されたのは、少しだけ静かな空気だった。


……あいつは、壊れていい人間じゃない。


「なあ、セラさん。紅希は悪いやつじゃないと思うぞ。」


セラは、目を逸らしたまま言った。

「そんなの……わかってるわよ。」


……それでも、終わらせないといけない。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は「本当の破滅」という、まだよくわからないものに触れたあとで、

それでもどうするのか――という回でした。


正直なところ、正しい答えはないんだと思います。

紅希を守りたい気持ちも、セラの事情も、ラエルの正しさも、

全部それぞれに筋が通っていて、だからこそ迷う。


青斗も、ここで初めて「関係ない」とは言えなくなりました。

ただ見ているだけではいられない場所に、踏み込んでしまったのだと思います。


そしてセラの「わかってる」という一言。

あれが、この物語の今の状態を一番表している気がします。


わかっているのに、やめられない。

だからこそ、この先どうするのか。


ここから少しずつ、選択の話になっていきます。

引き続き見守っていただけたら嬉しいです。


それでは、また次の話で。


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