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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
第1章 破滅と対価

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第6話 本当の破滅

ラエルが言った。


「ここで話すと変な人になるわよ。場所を変えなさい。」

「紅希も行きましょう。」


紅希が、少しだけため息をつく。


「仕方ない。まだ時間があるから、個室に入りましょう。」


……俺も、行くしかなかった。

……逃げる、という選択肢は、なかった。


紅希が言った。

「初めまして、赤石紅希です。よろしくお願いします。」


「初めまして、水沢青斗です。よろしくお願いします。」

「あの、二人とも見えてるんですか?」


紅希は少し考えてから答えた。

「俺はラエルは見えるんですけど、セラさんはあまり見えないんです。」

「ラエルはサポートしてくれるから大丈夫なんですけどね。」

紅希が続けた。

「ここなら大丈夫だと思います。俺がいつも使ってる個室のカフェです。」


二人はコーヒーを注文した。


「俺は二人とも見えるんです。数日前からなんですが。」


「俺はそれよりちょっと前からかな。」

「ラエルは天使だと言ってます。性格はあんな感じです。」


紅希は思ったより普通だった。


そう思った――次の瞬間。


紅希が言った。


「悪いけど、彼女と会うのが昼前だから、それまででお願いします。」


「曜日別のですね。」


「何で知ってるんですか?」


「いや……。」

目線を逸らした。


「曜日別で俺は付き合ってます。」

「みんなかわいいし。」


少しだけ間。


「それに――全員、本気なんです。」


「え?」


……それ、普通じゃないだろ。


「えっと……ちゃんと曜日別も納得してもらってて。」

「俺、決められなくて。」

「でも、全員好きなんです。」


「……そうなんだ。」


「浮気とかじゃなくて?」


「浮気?」

紅希は少し首をかしげた。

「そんなことしないですよ。」

「全員、本気ですから。」


「それ、ありなのか?」


……悪いことをしてるようには、見えなかった。


「こんな感じだから、俺男友達いなくて。」

「よかったら、友達になってくれたら嬉しいです。」


少しだけ間。


「……別に俺も友達いないから、いいですよ。」

「ちょうどよかったです。」


「で、セラさんって俺のことを狙ってるんですか?」


「狙ってるっていうか……破滅させようとはしてますが。」

「そんな悪魔がついてる人と友達でもいいんですか?」


少しだけ間。


「別に、それとは関係ないので。」


「なら、良かったです。」


「まあ、別問題ですからね。」


「……はい。」


……こいつ、本当に大丈夫なのか。


「俺は、破滅させられると困ります。」

「でも、ラエルの話を聞く限り、何か理由があるんですよね。」

「その理由によっては……まあ、少しは仕方ないのかなって思ったりもするんですけど。」


少しだけ間。


「さすがに破滅は困るんですよ。」


「……。」


俺は紅希に言った。

「誰もが破滅は避けたいと思います。」

「俺も、ゴミ箱のごみを破滅させるとかで代替案を探したんですが……わからなくて。」


「ですよね。」


……こいつを破滅させるのは、違う気がした。


紅希が、

「俺も、どうしたら破滅を平和にできるのか考えたんですけど。」

「何かを切るとか、いらないものを捨てるとかしか思いつかなくて……。」


「やっぱり俺と同じですね。」


少しだけ間。


二人で、ため息をついた。


「でも、破滅って何です?」

俺は聞いた。


「崩壊よ。」

「破滅は、ありえないわ。」

ラエルが言った。

「人間の破滅って言えば、わかるでしょう。」

「どうなるかなんて。」


少しだけ間。


「不幸を考えたら、わかるわ。」


「仕事を失う。」

「人間関係が壊れる。」

「居場所がなくなる。」


少しだけ間


「……そういうことよ。」


……軽く考えていいものじゃなかった。


「おい……。」

少しだけ迷ってから、続けた。

「友達として言う。」

「受け入れるなよ。」

「紅希はズレてるかもしれないが、破滅していいやつとは思えない。」


「ありがとう。」

「そう言ってくれて。」


……言ってしまった。


「ただ、セラさんはなんでそんなに破滅が必要なんだ?」

俺はセラに聞いた。


ラエルが口をはさんだ。

「セラに聞かないであげて。」


少しだけ、声の調子が変わる。


「言っちゃだめなの。」


セラは、視線を落としたままだった。


……聞いてはいけないことだった。


「ただ、私が言うなら話は別だから……少しだけ。」


「ラエル。」


「少しよ。」


ラエルは、静かに続けた。


「破滅ポイントは、対価みたいなものよ。」


少しだけ間。


「本来、セラは関わらなくてもいい子なの。」

「こっち側だったのだから。」


……どういう意味だ。


紅希が聞いた。

「こっち側って……どういうこと?」


「こっち側って言うのも、語弊があるわね。」

「あなたたちと同じ側だったってことよ。」

「これに関わる前はね。」


少しだけ間。


「青斗も、関わっちゃ駄目。」


さらに、言葉を選ぶように続ける。


「でも、事情もあるのよ。」

「だから、全面的には否定しないけど……。」


小さく息をつく。


「セラには、破滅をやめてほしいのよね。」


……もう、関わってしまっている気がした。


「二人とも、関わるのはいいわ。」


「でも――破滅ポイントの対価を使うことだけは、駄目。」


少しだけ間。


「それは、禁じられてるから。」


目を伏せて、続ける。


「……本当の破滅よ。」


……今までのは、まだ軽いほうだったのか。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は少しだけ、いつもと違う空気の回でした。

ヴァイオリン教室という日常の中で起きた違和感から、

「破滅」という言葉の意味が、少しだけ現実に近づいた気がします。


紅希という人物も、書いていて不思議なキャラでした。

普通じゃないのに、悪い人間には見えない。

だからこそ「本当に破滅させていいのか?」という迷いが生まれる――

そんな構図が出せていたら嬉しいです。


そして、セラについても少しだけ触れました。

彼女がなぜ破滅ポイントを必要としているのか、

なぜやめられないのか。

まだすべては明かしていませんが、少しずつ見えてくると思います。


物語としては、ここからが本格的に動き始めるところです。

この選択が正しいのかどうか――

ぜひ見届けていただけたら嬉しいです。


それでは、また次の話で。

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