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破滅悪魔セラさん、なぜか俺に懐いてます。  作者: 桐原悠真
第1章 破滅と対価

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第1話 会社帰りに悪魔を拾いました

俺は会社の帰り道で、怪しい女の子を見つけてしまった。


明らかにコスプレだ。


黒い服。

角みたいなもの。

そして――


「破滅ですね。」


とか言っている。


……絶対にこの子おかしい。


しかも通りすがりのイケメンを見て、


「破滅候補です。」


とか呟いている。


いや怖い怖い。


関わらない方がいい。


俺は何も見なかったことにして、そのまま通り過ぎようとした。


しかし――


なぜか、足が止まった。


いや、違う。


止まったんじゃない。


止められた。


「ちょっと。」


女の子が、俺を見ていた。


「何であなた、私のことが見えるわけ?」


「誰でも見えるだろう。」


セラは少し目を細めた。


「普通は見えませんけど。」


「そうなのか?」


「そうなんです。」


「それで……俺に何か?」


「別に。」


「じゃあ何で話しかけたんだ?」


「気になったので。」


「あなた本当に何者なの?」


「普通の社会人ですが。」


「社会人?」


「ITの会社で働いてます。」


俺は名刺を取り出して渡した。


「水沢青斗です。よろしくお願いします。」


「あ……ご丁寧に。」


セラは少し驚いた顔で名刺を受け取った。


「私は悪魔のセラです。」


「はい。」


「悪魔コスプレなのは見ればわかります。」


「悪魔セラっていうキャラのコスプレなんですね。」


「俺、アニメとかゲーム詳しくないんで。」


「すみません。」


「違います。」


セラは真顔で言った。


「私は悪魔で、セラって言うんです。」


「あ、そうなんですね。」


俺は頷いた。


「で、あの人なんですが、どう思います?」


「……あれです。」


セラは通りを歩く男をじっと見ていた。


長身で、整った顔。


女の子が二人、楽しそうに話しかけている。


「彼ですか?」


「落とすなら、やめた方がいいと思います。」


「明らかに遊んでるタイプなんで。」


セラは少し黙ってから言った。


「……ですよね。」


「私、彼を破滅させないといけないんです。」


「あの人、破滅候補です。」


「候補って。」


「曜日で女が変わるタイプです。」


「よくいるんです、ああいうの。」


俺は少しだけ男を見た。


確かにイケメンだ。


そして、チャラそうだ。


「……ああ。」


「確かに危ないな。」


(そういうことか……。)


「……遊ばれたんですか。」


青斗は納得したように頷いた。


「確かにそんな恰好してたら、遊ばれても仕方ないと思います。」


「遊んでくれって言ってるようなものですし。」


「っていうか、遅いんだから帰った方がいいですよ。」


「最近物騒だし。」


真面目な顔で言う。


「遊ばれてはいないんですが。」


「そうなんですか。」


「なら、破滅なんて物騒なこと言わない方がいいですよ。」


「でも、悪魔ですから。」


「まあ、そうですね。」


青斗は普通に頷いた。


「……いや、よくないだろう。」


「それに私、帰るところありませんし。」


「え?」


「それまずくないですか?」


青斗は眉をひそめた。


「親に連絡して帰った方がいいですよ。」


「言いにくいなら、俺が話しますけど。」


「社会人として見過ごすわけにもいかないですし。」


セラは少し考えた。


「仕事をしてから帰らないと。」


「仕事?」


「破滅させることです。」


青斗は真顔になった。


「……それ、危ない会社ですね。」


「そういうところに巻き込まれるのは良くないですよ。」


「後で困るから。」


少し考えてから言った。


「警察行きます?」


「俺、ついていきますよ。」


「警察とかは困ります。」


「そうですか……。」


青斗は少し困った顔をした。


「あの、申し訳ないけど……」


「俺、一人暮らしなんで。」


「女の子が来るのはちょっとまずいと思うんです。」


「それに俺、女友達とかいませんし。」


「泊めてくれそうな人も紹介できないです。」


青斗は少し考えた。


「でも、夜に一人でいるのも危ないですよね。」


セラは黙って聞いている。


青斗はさっきのイケメンを見た。


「あの人なら、たぶんすぐOKすると思いますよ。」


「明らかにチャラいし。」


「イケメンだし。」


「まあ……」


少しだけ言いにくそうに続けた。


「さっきの人よりは、俺の方がマシかもしれないですが。」


「でも俺の家、お客様用の布団もないし……。」


「やっぱりやめておきましょう。」


青斗がそう言った瞬間――


セラが口を開いた。


セラは少し顎を上げた。


「私、あなたの家に住んであげるわ。」


「……は?」


「あなた、悪魔に触れる人間なんですよ?」


セラは楽しそうに言った。


「面白いでしょう?」


「……いや、全然。」


俺がそう言うと、セラは満足そうに頷いた。


「さあ、行くわよ。」


「どこに?」


「あなたの家。」


「いや、まだ決まってないだろ。」


「決まりました。」


セラは当然のように言った。


「今日から住みます。」


「……は?」


「何で、そうなる。」


「仕方ないでしょう。」


「行くわよ。」


「あなた、家は遠いの?」


「いや、歩いて十五分くらいだけど。」


「遠いですね。」


「普通だと思うけど。」


セラはきょろきょろと周りを見ている。


「人間界は明るいですね。」


「夜だからな。」


「悪魔界はもっと暗いです。」


「そりゃそうだろ。」


「あと匂いも違います。」


「匂い?」


「コンビニの匂いです。」


「それはただの唐揚げだ。」


「唐揚げ?」


「食べ物だよ。」


「なるほど。」


セラは少し真剣な顔で言った。


「人間界は誘惑が多いですね。」


「お前悪魔だろ。」


その日、俺は――

この悪魔に関わってしまったせいで、謎の同居生活を始めることになった。


一体、何なんだこいつは。


……この時の俺は、まだ知らなかった。


この悪魔が、俺の人生をめちゃくちゃにすることになるなんて。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


会社帰りの社会人が、なぜか悪魔と同居することになるラブコメです。

自称「悪魔界の清純派」セラと、常識人の青斗のちょっと騒がしい日常を書いていきます。


ゆるく楽しんでもらえたら嬉しいです。

よければブックマークや感想などいただけると励みになります。


次回から同居生活が始まります。


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