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第六章 覚悟
放課後の
廊下で、
彼と
鉢合わせた。
「まだ、見てるんだ」
私は頷いた。
「やめない」
彼は、
小さく
息を
吐いた。
「疲れるだろ」
「うん」
そう答えて
私は
窓越しから
点の子の
後ろ姿を
見た。
吹奏楽部の
練習音だけが
廊下に
響く。
「切らなかった線、
覚えてるか?」
「覚えてる。
切った線も」
彼は、
苦く
笑った。
「俺は、
切った線しか
覚えてない」
「嘘。
見ないように
してるだけ」
私の
言葉に、
彼は
口を
固く閉し
私と
同じく、
点の子の
後ろ姿を
一目した。
「怖くないのか」
「怖いよ。
でも、逃げない」
彼は
視線を
逸らした。
「俺は、
もう…。
切る側にしか
立てないと
思ってた」
「そんなことない。
見てもいい」
その言葉に、
彼は
目を
見開いた。
「お前…。」
彼は、
言葉を
濁した。
そして、
小さく
微笑み
「残酷だな」と、
私の
目を
見て
言った。
「じゃあな。」
彼は
先に
廊下を
曲がった。
私は、
線から
目を
逸らさなかった。
線は消えない。
これからも、
誰かは
壊れ、
誰かは
切られ、
誰かは
見続ける。
私は
気づいた。
この感覚は、
祝福ではない。
むしろ、
呪いだ。
それでも、
私は
やめない。
救えなかった
人生を、
自分の
選択として
引き受ける。
線を
見ることを
やめずに、
ただ、私は生きていく。




