表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/23

第20章 「臨界点」

「は?」


短い問いかけが、部屋の空気を切った。


返事はない。

ただ、目の前にいるはずの相手を、秋夜はじっと見据えていた。


「……」


「お前、何言っ――」


遮るように、声が鋭くなる。


「炎夏は!!」


言葉に力がこもる。


「命を奪うことはあっても『死んで当然』なんて絶対に言わない!!」


その断言に、わずかな沈黙が落ちた。


「………………まだ……《視》え切れてない部分があった……」


どこか他人事のような声。


「どうでもいいよ」


淡々と、しかしはっきりと切り捨てる。


視線の先。

そこに、何かが“在る”。


「……」


気配だけを残し、言葉を発さない存在。


「炎夏に……何かした?」


問いは低く、抑えられている。

だが、その奥には感情の奔流が渦巻いていた。


「………さて?」


次の瞬間、空間が歪んだ。


空気が一気に押し潰される感覚。

重圧が、周囲を叩き伏せる。


視界が揺れ、地面が軋む。




「 重 竜 」




低く、しかし確実に放たれた言葉と同時に、重力が奔流となって解き放たれた。


「!! ここは市街地……」

切迫した声。

「でも、見たかったんでしょ?」


冷静すぎるほどの声が返る。


「……」


問いかけは続く。


「炎夏は、どこ?」


沈黙。


「………」


「教えてよ」


逃げ場を与えない、視線と言葉。


「……良い学習だった」


その返答に、わずかに間が空いた。


「…………そっか……死んだの?」


問いというより、確認。


返事はない。


「…………いいよ……」


静かに息を吐く。


「好きなだけ、見せたげる……」


そして、決定的な一言。


「そのかわり――」


言葉が、空気を切り裂く。






「 次 は 絶 対 に 逃 が さ 無 い」


それは宣告。







逃げ道を断つ、最終通告。


空間が、再び軋み始める。

重力が、意思を持ったかのように蠢き出す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ