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第19章 異常の中の日常

部屋の中は静かだった。

時計の秒針だけが、一定の間隔で音を刻んでいる。


カチカチカチ


「……おっそい!」


ソファに寝転がったまま、天井を見つめる。

普段は時間をきっちり守る人間だ。

それが、今日は来ない。


(……普段時間は守るのに……)


胸の奥に小さな引っかかりが生まれる。


―――回想―――


「……上等じゃん?」


「ええ、地獄を見せてやります。」


「………………」


―――回想終わり―――


「……まさかね〜……」


自分に言い聞かせるように、軽く笑う。


その瞬間。


ピンポーン


「!」


体が即座に反応した。


「炎夏!」


勢いよく立ち上がり、ドアに駆け寄る。


ガチャ!


「よう。悪い、遅れた。」


いつもの声。

いつもの立ち姿。


「ホントだよ!心配したんだから!」


「はぁ?何を心配するんだよ。」


「だからぁ……んー!もういい!」


少しだけ拗ねたように視線を逸らす。


「変な奴。」


いつも通りのやり取り。

いつも通りの


はずだった。


「察知」


部屋に戻る。


「ねえ、何か飲む?」


「日本酒とチェイサー。それとストゼロ。」


「はあ……いつも通りだね〜。」


「なんだ?悪いか?」


「いえいえ!」


手を振って笑う。


「進歩がないなーって思って♩」


「………」


一瞬、返事が遅れた。


(……あれ?)


「へい、お待ち!僕も飲もー。」


「お前も飲むんか。」


「いつも飲んでるじゃん?」


「……そうか……そうだな。疲れてんなー、俺。」


どこか、言葉の選び方が引っかかる。

だが、理由を探す前に話は続く。


「……まあ、また『透明』が活動してるし、神経張るよねー。」


「全くだぜ。今度は息の根を止める。」


少し強すぎる声音。


「あんな奴は死んで当然だ。」


その言葉が、部屋の空気を切り裂いた。


「………」


思考が止まる。


胸の奥で、何かがはっきりと“違う”と告げている。


「どうした?」


視線を上げる。

目の前の“それ”を見る。


ゆっくりと、確かめるように。


「てめぇ誰だ」


四季彩威ー「秋夜」ー世界を壊す力

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