表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/23

第17章 亀 裂


【色彩機関:四季彩威専用区域・統合特別室】


室内は静かだった。

無機質な機械音と、淡く浮かぶモニターの光だけが空間を満たしている。


「……………」


椅子に深く身を沈め、長く息を吐く。


「…はぁぁぁぁ〜…」


春塵の肩から力が抜ける。

集中を強いられる作業が、ようやく終わった。


「終わりましたぁぁぁ…」


(…機械は苦手です…さっさと私の『白識』とリンクできるようにしてくださいよぉぉ…)


文句を飲み込みながら、指先で端末を操作する。


「……栄養補給!!」


軽い調子で言葉を発し、いつもの癖で個人ログに手を伸ばす。


「この間の秋ちゃんと炎夏さんの営み記録〜♩

やはり「色」より実物に勝るものは」


──その瞬間。

感覚の奥で、何かが弾けた。






「…」


空気が変わる。

張り巡らせていた認識の“端”が、僅かに削り取られている。


「『囲って』いる端っこが…欠けた?」


それはミスではない。

誰かが、意図的に触れた痕。


(…行く)


判断は一瞬だった。


空間が折り畳まれ、姿が消える。





『何者にも染まらない色』


転移先に、濃い血の匂いが漂っていた。




「!」




視界に映ったのは、崩れ落ちるように膝をついた身体。


「炎夏さん!!」




「…春…来る…な…来ないで…くれ…」

声は震え、指先は制御を失っている。


「来るに決まってるでしょう!」

距離を詰める。

躊躇はない。


「…う…う…く…」




「…………………………酷過ぎる。」





彼に触れ全て理解した。先程までの闘争も…

彼を「試した」ことも…

怒りよりも先に、静かな断定が胸に落ちた。


「…炎夏さん」








抱き寄せると、力なく身体が傾く。


「…俺ぁ…俺ぁ…」


「…殺した…」


言葉が、刃のように落ちる。


「…」


続きを促さない。


「守らなきゃいけねえもんを…」




「『子ども』を…」





「殺し」

「炎夏さんは悪くない。」


即座に、否定する。


「貴方はただ守ろうとした」

「それだけです。」


声は低く、確信を帯びている。




「それを利用されたんです。

利用なんですよ。炎夏さん。」


視線を合わせる。




「貴方なら分かるじゃないですか。」


沈黙が、肯定を返す。




「それは貴方の『罪』じゃない。」


一語ずつ、切り分けるように。




「押し付けられた、作らされた『罪』です。」


息を吸う。




「…でも貴方は…きっと自分を許せない…」



「いえ許さない…」




分かっているからこそ、続ける。


「…でも炎夏さんが自分を許せなくても」


視線を逸らさず。





「私が貴方を許します…」





間を置き、繰り返す。


「何度だって…何度だって」



背後で、気配が動いた。


「……最小限に『感応』は抑えたはずだが」

「やかましいです。 卑 怯 者。」


振り返らずに吐き捨てる。



「…気付きますよ。『大事なものは箱』にしまっておくものです。」



その言葉に、僅かに炎夏の指が動く。

「……」


「…なるほど…本当によく『動く』…」




「炎夏さんが『感じさせられた罪』、あなたに返上します。『規格外』さん。」


ドン!!


空間が歪み、相手の身体が揺らぐ。

「!」グラ



「いえ、ただの『卑怯者』ですね」



ドン!!

続けて、もう一撃。

「!」



ドン!!


衝撃が連なり、視線が跳ねる。


「!……『壁』…!」


「あなたは外ばかり『視』過ぎです。」


淡々と告げる。


「『規格内』でも使い方次第です。」


ドン!!


圧縮された防壁が、そのまま“質量”として叩きつけられる。


「…!防壁を…ぶつける…」ググ


「こんな『虹色』でも扱える、基礎的で解釈値が低いものは視てこなかったんでしょう?」


沈黙が返る。


「逃がしません。あなたは『1年前』から逃げてばかり。つまらないです。」




「………大っ嫌いです。」




春塵が一歩踏み込む。


「白識展開」


透明が構える。

「今更…」


「残念。 嘘 で す」


「!」


「後ろ…異常…ありませんか?」



振り向かなくても理解した「逃げ場がない」と




「……短剣… 2 万 5 2 6 4 本…」





数を把握した瞬間には



もう遅い。



「とりあえず死んでください。『卑怯者』」


無数の白い雨と風が降り注ぐ。

「…大っ嫌いです。」何気に春塵が感情的になってるのが好きです。


これで終わりじゃありません。

もう一段階いきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ