第12章 あれから1年ー変わらない傷、変わった関係
とある日
色彩機関【四季彩威専用区域・統合特別室】
夕方 18:00
定時を知らせる音が、静かな部屋に響いた。
窓の外は夕焼けに染まり、任務の合間の、ほんの短
い平穏な時間。
「定時だ…帰るか。」
「任務の報告書作るのホント無理〜」
椅子にだらりと身を預けた秋夜が、机に突っ伏す。
「確かにな。どうせ衛星やら何やらで観てるってのにな。」
「まあでも《透明》が出現してないだけマシかー。実際1年近く音沙汰ないしねー。」
その言葉に、室内の空気がわずかに沈む。
「……もう1年ですか。」
春塵が静かに口を開いた。
「あの時は秋ちゃんが一人で追跡して撃退してくれたからまだ良かったですが……もしもを想像したら怖いです。」
「まあ僕が死んでも2人がいるもん。
大丈夫って信じてるからさー」
軽い調子の言葉。
だが、炎夏は何も返さなかった。
「……」
「!……でも秋ちゃん。」
春塵の声が、少し強くなる。
「私達は残されたら悲しみます。
1年前みたく無茶はしないでくださいね?
ぜっったい。」
「わ、分かってるよー。
あの時は悪かったってー……」
「むぅぅ〜性格が丸くなった秋ちゃんカワユスですぅぅ!」
勢いよく抱きつかれる。
「だァァァ!本部内で抱きつくなァァ!」
その様子を見ながら、炎夏は小さく息を吐いた。
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「私はこっちです。炎夏さん。」
廊下の分かれ道で、春塵が足を止める。
「秋ちゃんに手を出したら都度手数料もらうのであしからず。」
「なんのお手数もかけてねえだろ。」
「秋ちゃんの処女は私がいただくからです。」
「処女じゃねえし!貫通済みだし!」
「その返しもどうかと思う。」
軽口が飛び交う中、春塵は満足そうに手を振った。
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帰り道
夕暮れの街。
並んで歩く二人の間に、少しだけ沈黙が落ちる。
「……」
「どしたん?」
「いや……なんか……」
「うん?」
「いやさすがに……」
「いやいや、そこまで言ったら気になるし。」
「だから……さっき言ってたろ。」
「あ、処女じゃない、みたいな?」
「おう。」
「僕いくつだと思ってんのさ。
経験だってそりゃ多少あるよ。
炎夏だって元カノとかいたでしょー?」
「まあ、そりゃそうだが。」
「……あれ?あれあれあれ?」
秋夜が一歩近づく。
「ひょっとしてちょっと妬いてます?」
「妬いてねえ。」
「…ふーん。ちょっと意外。」
「妬いてねえつってんだろ。」
「…女々しい男よの〜。」
「やかましい!」
「今はアンタのものなのに?」
「……お、お前よく平気でそういう……」
「いやいや炎夏も普段は僕といる時、割とこんな感じだよ?」
「え、ウソ。」
「でもさ。この間は本部であんな事してくるくせに……過去の男に嫉妬とか〜」
「……あれは」
言葉を切り、炎夏は視線を逸らす。
「(可愛い過ぎた)お前が悪い。」
「まだ言うかね。」
秋夜は小さく笑った。
「……じゃあさー」
「?」
「今からウチ来る?」
「Σ(゜д゜;)」
夕暮れの中で、炎夏は立ち止まる。
迷いと欲と、守りたい気持ちが交錯する一瞬。
少し離れた場所で。
「たまらんものです。」
春塵が、満足そうに呟いた。
次回はちょっとシリアス
でも確かに救いのある話




